先週のインターネット版「Le Figaro」に、「フランスの出生率、また上昇」のニュースが載っていた。2008年の出生は、前年比で1.2%増の伸びを示し、これでフランスの女性1人当たりの子供の数は、約2.07人に達するというものだ。
ベビーブーム呼ぶ3つの理由、保育所、婚外子、40歳以上
この記事は、先ごろ発表になったINSEE(国立統計経済研究所)の報告に基づくもの。その資料にある様々な数字を挙げて、フランスのここ数年の「ミニベビーブーム」の様子を解説している。
まず、この数字は2008年出生のものだから、世界的な経済危機が及ぼす影響は、これにはまだ表れていないとしながらも、EUの国々全体としても、出生数は増加傾向にあるという。
中でも特にフランスが高い出生率を誇るということになるのだが、国立人口統計研究所の所長は、その要因を次のように分析している。
第1に、保育所の充実。子供を預けるのに親の負担が少ないうえに、施設のレベルが高い。
第2に、カップルの形態がフレキシブルで、婚外子が受け入れられやすいこと。
第3に、40歳以上の女性の出産が増えたこと。
第2、第3の理由については、INSEEの数字に明らかだ。
婚外子の比率は51.6%にも達する
まず、結婚の形態を取らないカップルの間に生まれた子供の比率は、51.6%。つまりフランスで生まれる子どもの半数以上が婚外子ということになる。
資料によれば、1901年の8.7%からスタートし、60年代は6%前後で推移するが、79年に10%を超えてからは年々増え続け、2007年には50%を上回っている。
これには、フランスで一般化している事実婚が多分に関係している。つまり法的に結婚という形を取らずに共同生活を続けるカップルが多いということに加えて、1999年に設定されたPACS(民事連帯契約法)によって、異性あるいは同性のカップルが、同棲以上結婚未満の法的権利を保障されたことも大きい。