「藍より青き大空に大空に  たちまち開く百千の  真白き薔薇の花模様・・・」

 旧陸海軍の落下傘部隊を歌った「空の神兵」。1942(昭和17)年に公開された同名映画の主題歌だ。当時、軍歌として大いに親しまれたこの歌が、陸上自衛隊第一空挺団では今なお歌い継がれている。

 震災から4カ月余が過ぎた先日、空挺部隊でも訓練が再開され、創設から数えてちょうど100万個目の落下傘が使用されることになった。

 1954年の自衛隊設立以来、57年にわたって鍛錬してきた功績を称える意味で、空挺団出身の火箱芳文陸上幕僚長も部隊からのたっての要請に応え、今年60歳にして実際に降下したというから驚きだ。隊員たちの士気は大いに高まったようである。将軍自らが飛んで見せる、そんな空挺部隊ならではの伝統も受け継がれているのだ。

落下傘の縫製、修理を担ってきた女性たち

 今回の災害派遣でも第一空挺団は、福島第一原発30キロ圏内などの捜索にあたるなど、精強部隊に相応しい活躍ぶりだったと聞く。

 瓦礫の除去では、「本当にそこに瓦礫があったのか?」と疑うほど徹底的に作業し、家屋の中も完璧にきれいに片付けた。布団まできちんと畳んで置いてあったという。

 「そうしないと、結局、何度も同じ場所を作業することになってしまうんです」と隊員は語る。

 片付けが中途半端だと、心が残って気持ちの整理ができないだろうという被災者感情への配慮もある。家人が可愛がっていたペットを必死になって探し、亡骸となって発見された猫は丁寧に埋葬して皆で手を合わせたという話も聞く。

 そんな優しくて逞しい彼らは、普段、落下傘を背負ってはるか上空から降下するのだが、この落下傘の補修を、実はごく普通の女性たちが担っていることは、あまり知られていない。