7月8日、アトランティス号はスペースシャトル最後のミッションへと飛び立った。発射台のあるケープ・カナベラル空軍基地には、30年余り続き、135回もの飛行を繰り返してきたスペースシャトル計画最後の勇姿を目に焼きつけようと、米航空宇宙局(NASA)の高官ばかりか、数十万もの人々がかけつけ、久しぶりに活気あふれる発射風景となった。

イースター島の滑走路が長い理由

イースター島のモアイ像

 (実際に行ったか行かないかは別として)人類が月に行くというアポロ計画に比べれば地味なものだった。

 しかし、繰り返し使われるスペースシャトルの船体は、アポロ宇宙船よりずっと身近に感じるもので、そのうち自分も宇宙旅行できるのでは、との妄想も抱かせてくれた。

 1986年チャレンジャー号爆発、2003年コロンビア号空中分解、とスペースシャトルは2度の悲劇を経験している。

 しかし、そんな大事故でなくとも、予定帰還地(多くはケープ・カナベラルに隣接するケネディ宇宙センター)へと戻れぬ不測の事態に備え、世界中に着陸場が用意されてきた。

 大抵は米軍や友好国の基地や大型飛行場なのだが、絶海の孤島であるがため選ばれたのがイースター島。そして、NASAの援助により、滑走路が3318メートルもある大飛行場へと変身を遂げるという、思わぬ恩恵も受けた。

コンコルドさえ飛来した

 結局、スペースシャトルが降り立つことはなかったが、その滑走路には、パペーテ(タヒチ)とサンチャゴ(チリ)とを結ぶラン航空定期便が中間地点として降り立ち、滑走距離が3キロ近くあるため、ちっぽけな離島になど来るはずもないコンコルドでさえ、チャーター便としてやって来たのである。

 こうして観光客も以前とは比べものにならないほど訪れるようになったイースター島一番の呼びものは、もちろんあの巨大なモアイ像である。

 しかし、小さな島のこと、3日も車で走り回ればモアイも見飽きてしまい、これと言ってすることもなくなってしまう。

 今でこそ外部との接触が頻繁にあるが、周りが海だけのこの小島では、めったに接触しない外地の人間より空や海の方がずっと身近な存在。