今回も胡錦濤総書記の党創立90周年記念重要講話の精読を続ける。前回は、中国共産党が1949年の革命によって獲得した「党の指導」という歴史的正統性を今後も放棄する気がないことについてご説明した。(文中敬称略)

 重要講話の冒頭で胡錦濤が強調したことは、新民主主義、社会主義、改革開放という3つの革命を成し遂げた共産党だけが、その優れた社会主義理論体系により、中国において調和が取れた、少しゆとりのある社会を建設できるという結論だった。

人民こそが行政の基本?

中国共産党90周年、胡主席が汚職撤廃を訴える

中国・北京の人民大会堂で行われた中国共産党の結成90周年記念式典で演説する胡錦濤国家主席(2011年7月1日撮影)〔AFPBB News

 それではなぜ共産党だけが中国を「指導」できるのだろうか。それを正当化するロジックらしきものにつき、胡錦濤総書記は要旨次のように述べている。

●過去90年の中国の発展と進歩を顧みれば、その(成功の)「鍵は中国共産党にある」という基本的な結論が得られる。

●共産党はマルクス主義の中国化、時代化、大衆化を推進し、全党の思想政治レベルを高めてきた。

●新たな歴史条件の下で、党の建設と科学化レベルを高め、全国津々浦々から賢人を採用し、人徳と才能を兼備させることは、わが党にとって必然の要求である。

●共産党には、人民の利益以外に、特殊利益は存在しない。人民こそが基本であり、人民のための行政こそがわが党の性格・本旨である。

●個々の党員は、人民を心中の最高位置に置き、人民の主体的地位と創造的精神を尊重し、人民をして師となし、政治的智慧を高め、人民の創造性実践の中で行政を推進すべきである。・・・・・・

 さらにこの後、反腐敗闘争に関する演説が長々と続き、最後に胡錦濤は「マルクス主義政党としての先進性と純潔性を常に保持しよう」「腐敗が有効に懲治されなければ、党は人民の信任と支持を失いかねない」と訴えている。