5日のNY市場は後半になってユーロの下げが加速している。序盤は連休明けということもあり、NY株式市場も小動きの中、方向感に乏しい展開が続いていた。しかし、午後になってムーディーズがポルトガルの長期債の格付けを「Baa1」から「Ba2」のジャンク級に4段階引き下げ、見通しもネガティブにしたことからユーロ売りが強まっている。

ムーディーズはポルトガルは第2次金融支援が必要になるリスクに直面しているとしている。歳出削減、増税、経済成長がリスクにさらされているとしている。2013年下期の市場への復帰は困難で、その後もしばらくは無理な可能性もあると述べた。

ユーロドルは景気軟化が一時的との期待感や、ギリシャ問題の軟着陸への期待から押し目買いも見られていたが、ムーディーズの格下げは疎のテンションを断ち切ったようだ。

ユーロドルは一時1.44を割り込み、ユーロ円も116.70近辺まで下落している。

◆明日、欧州金融機関とEU当局が協議 会計基準に焦点

さほど材料にはならなかったが、国際金融協会(IIF)によると、明日6日にパリでギリシャ国債を保有する欧州金融機関とEU当局者が会合を開く予定。仏ロールオーバー案の会計処理を明確にすることが、計画を進展させる上で引き続き焦点になるという。

ちなみに、国際会計基準審議会(IASB)はEUが国際会計基準(IFRS)の新規則を導入すれば、ギリシャ国債に絡むEU内銀行の評価損計上が軽減されるとの見方を示していた。IASBは先の金融危機時に、銀行にトレーディングを目的とした金融商品の時価評価を義務付ける規則を緩和している。一定期間保有した資産であれば原価で評価することが認められるとういうもの。EUは現時点で新規則の導入を承認していない。

時価から簿価への都合の良い会計原則のシフトで、バブル崩壊後の日本の金融機関からすれば、目が点になりそうなほど違和感は否めないだろう。しかし、投資家やマネーマーケットがどう判断するかは判らないが、欧州金融機関にとってはプラス材料となろう。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)