10日の東京市場は、リスク選好ムードが後退、円高とドル高の圧力が次第に強まった。9日のNY株式市場が7日ぶり反発となったことを好感して日経平均は序盤に140円超高となった。為替市場ではゴトウビ(5・10日)で仲値に向けての外貨需要への思惑からドル円が80.47レベル、ユーロ円が116.80レベルへと上昇した。しかし、仲値通過後は輸出やFX取引の個人投資家などから売り浴びせられてドル円は80円手前まで反落した。ユーロドルは1.4550レベルへと前日NY市場での戻り高値を上回る場面もあった。しかし、日経平均が上げ幅を縮小、午後にはアジア株の軟調な動きに連動して9500円割れへと一時下落する動き。午前のリスク選好ムードは大きく後退して、為替市場では円高・ドル高の動きが広がっている。ユーロドルが1.44台後半、ポンドドルが1.63台前半へと下げる間に、ユーロ円は116円近辺、ポンド円は130円台後半へと下押しした。昨日のトリシェ会見後の流れを受けて、これまでのドル売りポジションに調整が入り易い流れとなっているようだ。

◆韓国中銀、予想外の利上げ
この日は韓国や中国などアジア諸国のイベントが話題になった。韓国中銀は政策金利を3.00%から3.25%へと引き上げた。市場では6-7割のエコノミストが据え置き予想だったことから、やや意外感があるとしてドル売り・韓国ウォン買いの反応がみられた。韓国株も午後になって下落している。ユーロドルが1.4550台をつけるなど一時的にドル売りが波及する場面もあった。また、中国の貿易収支も発表されている。昨日の米貿易赤字の縮小が輸出の伸びに支えられていたことで最大相手国である中国の数字にも関心が集まった。5月の黒字幅は130.5億ドルと4月の114.2億ドルから拡大したが、市場予想193億ドルには大きく届かなかった。輸入が前年比28.4%と予想以上の大幅上昇となる一方、輸出は前年比19.4%と4月の29.9%からは伸びが鈍化している。輸入増を国内需要の強さと好感する見方も一部にはあったが、中国株価指数は軟調に推移している。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)