1. はじめに

【写真特集】震災被災地で活動する自衛隊員ら

震災で大活躍の自衛隊。写真は震災後1カ月、双眼鏡で海を捜査している自衛官〔AFPBB News

 3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0、1000年に1度と言われる巨大地震が日本を襲った。

 東北地方を中心に広範囲で強い地震と津波、宮城は震度7、岩手、宮城、福島の海岸では10メートルを超す津波、街は呑み込まれて跡形もないほどに損壊、死者・行方不明者は2.4万人、福島では最も深刻かつ最悪なレベル7の原発事故を起こすという、まさに未曾有の大震災となった。

2. 東日本大震災はどんな災害だったか

 戦後最大の国難と言われる東日本大震災は、烈震と大津波による自然災害の上に、国策として推進してきた原発によもやの大事故が起きたことに特色がある。

 烈震と大津波は広範囲に被害をもたらし、特に自治体の機能を失った被災地域は状況の解明や組織的な行動が取れず、当初の災害対応は困難を極めた。

 一方、15メートルの津波を受けた福島第一原発は、津波による浸水で予備電源が作動せず、電源喪失状態をきたしたため原子炉の冷却装置が制御不能となり、水素爆発による建屋の破壊や圧力抑制室の破損により放射性物質が外部へ漏出する事故を起こした。

 今回の大震災対応は、阪神・淡路大震災の経験を生かし、国も地方自治体も迅速に初動対応したものと思う。

 しかし福島第一原発事故対応については、東北地方の大震災対応と同時並行的に行わねばならず、かつ危険な作業を行うという厳しい状況であったことは理解できるが、平素の危機管理と事態対処の両面で多くの課題を残した震災と言える。

 また別の見方をすれば、国家非常事態の経験がない政府が、既存の災害対策組織や官僚をうまく使えず、専門的助言を受けると称し行政経験のない部外有識者からなる会議を立ち上げて対応した震災であるとも言える。

 今回の大震災が、原因は天災、対応は人災と言われるゆえんである。

 今回の大震災を通じて、災害への対応はどうだったのか、またこの災害を通じて今後、日本はどう変わるべきかついて私見を述べたいと思う。