19日朝に新聞報道された内容を見ると、日経が1面で伝えた日銀の新たな動き(外貨建て債券を資金供給の担保に加えることを検討)が、まず目につく。だが、その隣に掲載された中国関連の記事「中国 鉄鋼を緊急減産 各社に政府命令 『余剰生産能力3割』」は、それ以上に注目すべき内容を含んでいるものと、筆者は受け止めている。

 上海発の同記事は、「中国政府は国内の鉄鋼各社に減産の緊急命令を出し、生産調整に乗り出した。鉄鋼業界全体で約3割の余剰生産能力があると指摘。減産命令に従わない場合は罰則を適用する。中国では鉄鋼輸出が落ち込み内需も伸び悩むなかで、鉄鉱石や鋼材の在庫が積み上がっており、深刻化する需給のミスマッチを解消するのが狙いだ」とした上で、中国政府が初の緊急減産命令で、2008年時点で6億トン強の生産能力があった鉄鋼業界に対し、2009年は4億7000万トンまで減産するよう求め、従わない場合には銀行への融資制限・融資引き揚げ要請といった罰則を適用する、とした。また、関連記事として、銅やセメントについても在庫に過剰感があり、中国内での持続的な需要拡大に懐疑的な声が現地では浮上している、という。

 一方で、フィナンシャル・タイムズ(アジア版)は19日付で、中国の会計検査当局の報告書をもとに、「疑問視された中国政府の刺激策(Beijing’s stimulus measures questioned)」と題した記事を掲載。4兆元規模で中国政府が打ち出した景気対策は、1.2兆元のみが中央政府の負担で、残りは地方政府・国営企業・民間企業の負担という振り分けになっているが、このうち地方政府の資金調達が困難に直面しており、いくつかのプロジェクトは開始や進捗が遅れている、とした。そうした実情は朝日新聞がすでに報じており、筆者もリポートで取り上げたことがあるが、FT紙によると、公式文書が認めたのは初めてだという。上記の報道内容を総合すると、中国の4兆元の景気刺激策はどうやら、少なくとも現時点では、期待された成果を上げるには至っていないようである。

 中国の経済成長は引き続き、いびつである。以下のような諸点を指摘することができる。

・経済が落ち込んだ主因は輸出急減ショックにあり、政策的に対応すべきは沿海部の輸出関連産業だが、実際にはもともと経済成長が遅れていた内陸部のインフラ整備に政府はもっぱら注力しており、「患部」と「処方箋」がかみ合っていない。