2010年、自動車産業が甘い夢から覚める時  
日産自動車は自社の主たる製品のほとんどを純EVに置き換えるかのようなイメージを前面に押し出し、メディアもそればかりを取り上げている。しかし純EVは現在の自動車に置換できる存在ではなく、社会的シナリオを構築しつつ導入を進めるしかないことは、その開発に携わる人々がいちばんよく分かっている(写真提供:日産自動車)
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昨年秋、東京モーターショーに際してマツダが提示した「乗用車用動力源・今後10年のシナリオ」。純EVはその特質から地域や使い方を絞って導入を進めるとしても、絶対量は限定され、ハイブリッドを含めて電気動力が浸透しうる範囲はけして大きくない。むしろハイブリッドといえども基本動力はエンジンであり、自動車の動力の主力が内燃機関である時代はまだまだ続く。すなわちその能力、効率を今以上に高める努力が不可欠だという、極めて妥当なビジョンである
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上記シナリオに沿ってマツダは「ガソリンエンジンの燃費20%向上」「ディーゼルエンジンのコスト20%低減」を目標に開発を進め、製品化直前の段階に入りつつあるとのこと。これは「SKY-D」として公開された次世代ディーゼルエンジン。世界の最先端を行くレベルを目指すとなれば、これでもまだまだ・・・だと思う
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長年にわたって日本の排ガス規制と燃費公称値のための走行パターンとして使われている「10-15モード」の走行パターン。一定加速~一定速~一定減速で、しかもその加減速は「発進から40km/hまで14秒」というきわめて緩やかな1パターンのみ。制御や試験実施法をこれにピンポイントで合わせ込むのが日本流だが、その結果、現実とは乖離した数値だけが一人歩き。新しいJC08モードの導入も始まったが、こちらもその轍を踏む。かくて日本には「燃費の指標」が存在しないのである
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電気動力でクルマを走らせるキーテクノロジーの1つである電池も、こうした大型の「組電池(単電池=セルを多数、直列につなぐ)」になるとリサイクルのプロセスはいまだ具体化していない。ハイブリッド車の市場導入から10年以上が経過し、クルマ本体以前に電池の劣化、廃棄は刻々と増えているのだが。環境負荷の低減に加えてサスティナブル(持続可能)であるためには、新しいテクノロジーの社会投入とその回収・素材までのリサイクル構築は一体に進められなければならない(写真提供:トヨタ自動車)
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