(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年12月19日付)
ウクライナは弾薬とお金と外交支援が足りない状態で新年を迎えようとしている。
こうした決定的な不足の根底に、また別の重要な欠乏が存在する。
同国と西側の支援国にはもう、説得力のある勝利のセオリーがない。何らかの理論を考え出さない限り、ウクライナに対する西側の支援は揺らぎ続けることになる。
現在の状況は今年初めの楽観論とまさに対照的だ。
当時、ウクライナ政府とその支援国は、勝利がいかに達成されるかについて明確な見通しを持っていた。
ウクライナは春から夏にかけて攻勢に転じ、ロシアの防衛線を突破し、クリミア半島に迫る。
ハト派はこれがロシア政府を、ウクライナ側が受け入れられる条件での和平交渉に追い込むことを期待した。
タカ派は戦いをクリミアまで持ち込み、ウラジーミル・プーチンの失脚につなげることについて語っていた。
だが、反転攻勢は失敗した。
そしてタカ派もハト派も自分たちの勝利のセオリーが実践されるのを目にすることがなかった。
夏までに窮地に陥る最悪のシナリオ
2024年に入ろうとする今、先行きの見通しははるかに暗い。ウクライナ軍はすでに、弾薬の使用制限を余儀なくされている。
欧州連合(EU)と米国では、軍事支援の新たなパッケージについての協議が難航している。
西側の首脳は通常、「必要な限り」、ウクライナへの支援を誓う。だが、ジョー・バイデン大統領は最近、不穏なことに、この言葉を「できる限り」に修正した。
新たな資金が手に入らなければ、戦場でのウクライナの形勢は急激に悪化しかねない。