北朝鮮から海外に派遣されるのは、井の中の蛙が世界に出るようなものだ。北朝鮮の海外派遣は針の穴をラクダが通ることほど難しい。裏を返せば、海外に派遣された北朝鮮の外交官や貿易担当者、労働者らは「針の穴」を通過したラクダたちだ。北朝鮮の海外派遣制度という「針の穴」はどれほど狭いのか。
(過去分は以下をご覧ください)
◎「北朝鮮25時」
(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%83%AD+%E6%96%87%E5%AE%8C%EF%BC%9A)
(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)
北朝鮮では、国民を海外に派遣する時にまず身元照会が行われる。基本的には父方4親等、母方4親等、妻方4親等を照会するが、その親族の中に海外に住む同胞や韓国居住者が含まれると、照会範囲はさらに広がる。
北朝鮮には「姻戚8親等」という言葉がある。姻戚の8親等まで身元照会をするという文字通りの意味ではなく、徹底的に照会することを意味している。海外派遣の際の身元照会は、まさに姻戚8親等である。
海外派遣に伴う身元照会は、当該地域の党幹部部や海外派遣予定者が所属する当該機関が行う。党幹部部は行政幹部を任命する部署で、北朝鮮から海外に派遣される人々も、行政幹部と同じように扱われる。
海外に派遣される労働者の場合、最終的には朝鮮労働党・行政幹部部9課、外交官や貿易担当者、その他公務出張者は7課が決定する。
身元照会では、特に父方の直系4親等と妻の直系4親等が重視される。身元照会の対象者が北朝鮮に住んでいるかいないかを照会し、次にどのような暮らしをしているかを照会する。
政治犯収容所に入所していたり、韓国に逃げたりした人が照会対象者にいると分かった時点で海外派遣対象者から外される。民事・刑事で有罪判決を受けて服役中の人がいる場合も原則的には除外されるが、例外もある。
親戚に服役中の人がいる場合、以前は海外派遣対象から除外されたが、今は対象者が多すぎて、すべてを除外すると海外に派遣できる人がいなくなる。そこで、労働党幹部部は民事・刑事で服役中の親戚がいても、例外として扱うことがある。
海外派遣予定対象者と服役中の親戚の関係を照会し、普段から親しい間柄なら考慮されるが、親戚というだけで、あまり連絡を取っていなければ特段、問題にはならない。