秋篠宮皇嗣殿下の長女の眞子内親王(29)と、婚約内定者である小室圭氏(29)との「ご結婚」が10月1日に宮内庁から正式発表された。そこで語られたナラティブ(物語)は、後述のように、今回の結婚に憲法上の正統性が欠如している可能性を如実に物語るものであったと言える。
発表によれば、「眞子さまやご家族(秋篠宮家)、それに小室さんとその家族に対する誹謗中傷」による複雑性心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症された内親王は、「これ以上、この状態が続くことは耐えられないと考えられるようになった」。そのため、「こうした眞子さまのお気持ちを秋篠宮ご夫妻が尊重され、天皇皇后両陛下にも伺いがたてられた上で結婚が決まった。これらのことは上皇ご夫妻にも報告されている」という。
権力的役割を演じられた秋篠宮殿下
この「物語」で興味深いのは、天皇陛下が伺いに対してどのように回答されたのか、上皇陛下が報告にどう反応されたのかが、ぼやけさせられていることだ。
事実、今上陛下におかれては、「内親王に対するこれまでの公務に対するねぎらいのお気持ちを表され、幸せを心から願われている」とだけ伝えられており、結婚そのものに対するお考えやご意見は明らかにされていない。なお陛下は、今年2月のご自身の誕生日会見で、内親王のご結婚について、「多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っている」と述べられており、正反対のシチュエーションの中での強行劇をどう見ておられるかは不明である。
一方で、宮内庁の発表には、内親王の父君であられる秋篠宮皇嗣殿下が今回の結婚決定に主導的かつ権力的な役割を演じられたことが、明確に述べられている。すなわち、殿下は眞子内親王のお気持ちを「尊重され」、結婚を正式にお決めなさり(2020年11月の「気持ちを尊重し、認めるということです」とのご発言の延長線上にある)、このタイミングで発表に動かれた。つまり多くの国民の反対や、天皇制の是非論争という大きな政治的問題を抱える案件について、政(まつりごと)的な決定を下し、宮内庁を動かされたご主体ということだ。
ここで最も重要なのは、殿下がお決めになられなければ、宮内庁は独自に動けなかったという事実だ。