現役証券アナリストが語る、やさしい株式投資のハナシ

 資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。

世界で加速する脱炭素や環境重視の取り組み

 今回は、再生可能エネルギーをテーマにした銘柄選びのお話をしたいと思います。

 再生可能エネルギーとは、石油や石炭などの化石燃料と異なり、太陽光や風力などのように繰り返し利用することができる、環境に優しいエネルギーです。

 近年、環境汚染や自然災害の増加もあり、世界的に脱炭素や環境重視の流れが継続しています。各国が二酸化炭素(CO2)排出ゼロ宣言を打ち出す中、昨年に菅首相も2050年に二酸化炭素の排出を実質ゼロにすると宣言しました。

 企業レベルでも、欧米を中心にこうした取り組みはすでに加速しており、例えば大手IT企業のアップルは2018年、世界各地にある同社の施設が再生可能エネルギーを活用することですべての電力を賄う「クリーンエネルギー100%」を達成したと宣言しました。太陽光・風力発電のほか、バイオガス燃料電池、水力発電などの再生エネルギープロジェクトを運営しています。カリフォルニアの本社ビルの屋上には、太陽光パネルを敷き詰め、発電した電力は蓄電池などを活用し、効率的に利用しています。

 日本企業でもこうした取り組みが進んでいます。東芝は昨年石炭火力発電所の新規の建設から撤退し、2022年度までに再生可能エネルギー分野に1600億円を投資すると発表しました。2月には米国の重電メーカーのゼネラル・エレクトリックと洋上風力の風車の部品生産で提携の交渉が報じられ、注目されました。企業自身も環境に配慮した取り組みを株主や投資家に積極的にPRしており、再生可能エネルギーへの投資や利用はさらに加速するとみられています。

 いくつかの注目の再生可能エネルギー関連企業を紹介していきます。

おすすめ① 三菱重工業(7011)

 三菱重工業はプラントや航空機、船舶、エネルギーシステムなどの総合重機メーカーです。

 2月には、風力発電機で世界トップのデンマークのヴェスタスと日本・アジアで陸上や洋上の風力発電設備の販売を担う合弁会社を新たに設立しました。ヴェスタスとは以前から連携して風力発電事業を手掛けてきています。同社は今後3年間で約900億円を投じて再生可能エネルギーや脱炭素などの分野への投資を進めるとしており、石炭火力などの既存事業からの脱却を進めています。

 三菱重工業の3月4日の終値は3216円で、売買単位は100株なのでおよそ33万円程度から投資できます。

おすすめ② ウエストホールディングス(1407)

 ウエストホールディングスは、太陽光発電システムの設置・保守・管理や売電などを手掛けています。

 再生可能エネルギー事業では、大規模メガソーラーの用地や権利の取得、発電所の建設や販売、企業の工場や倉庫の屋根や遊休地などへの太陽光設備の設置なども行っています。企業や自治体の再生可能エネルギー志向の高まりもあり、売上高はトレンドとして右肩上がりが続いています。また設備管理のノウハウを生かしたメンテナンスや電力の売電などの収益源も伸びを見せています。

 ウエストホールディングスの3月4日の終値は2983円で、売買単位は100株なのでおよそ30万円程度から投資できます。

ソーラーパネル太陽光発電所のソーラーパネル。このパネルが太陽の光を受け、電気を生み出す

おすすめ③ エフオン(9514)

 エフオンはバイオマス発電所の運営や売電、省エネの支援などを手掛けています。

 バイオマス発電とは、化石燃料以外の間伐材やゴミ、廃油や下水の汚泥など動植物の生物から生み出された有機物のエネルギーを燃焼させたり発酵させたりして発電を行います。基本的には、廃棄物をエネルギー源として使うため新たな二酸化炭素も生み出さずクリーンな発電方法と言えます。エフオンは工場や材木メーカーから出る廃材などを燃料として発電を行っています。現在、国内で4つの木材を燃料としたバイオマス発電所を運営しています。

 エフオンの3月4日の終値は1012円で、売買単位は100株なのでおよそ11万円程度から投資できます。