はじめに
昨年末に尖閣諸島の我が国の領海内において、海上保安庁の巡視船に体当たりした中国漁船の船長がいわば超法規的措置により中国へ送還され、あたかも英雄が凱旋したかのように中国では取り扱われた。
これにより、国民の大多数は何事だと憤りを新たにしたものと思う。
しかし、このような中国の我が国周辺に対するアクセスは今に始まったことではなく、ここ数年、毎年のように繰り返されてきたのである。
これまで海洋の重要性に着目せず、ことなかれ主義に徹し対応してきた我が国数十年のつけが回ってきたに過ぎない。そして現在、中国の経済力および軍事力増強とともに、我が国の主権や国益が損なわれようとしている。
これまでの状況も踏まえ、ここでは、我が国の主権と国民を真に守るために必要な領海等警備に関する法整備の方向について、述べてみたい。