妊娠を希望している夫婦が不妊治療を考える時に、心配なのがその費用負担です。最近では不妊治療に備えられる保険をCMなどで見る機会もありますが、どのような保障を受けられるのでしょうか? 今回はその概要を見ていきましょう。
データで見る日本における不妊治療
不妊とは、妊娠を望む男女が夫婦生活を持っていても、一定期間(日本産科婦人科学会の基準では1年)妊娠にいたらない状態をさすとされています。不妊の原因は男女どちらか、あるいは両方にある場合、またどちらにも明確な原因がないこともあるそうです。
妊娠を希望する夫婦にとって、不妊は大きな心配事のひとつでもあります。国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」によると、不妊治療を経験している夫婦は、年々増加傾向にあるとされています。不妊を心配したことがある、または現在心配している夫婦の割合は35.0%、そのうち不妊の検査や治療を経験のある夫婦は18.2%にのぼります。
不妊の検査や治療にはいくつかの種類があり、原因に合わせて行われる内容が変わるようです。主なものとしては、タイミング法、排卵誘発法、人工授精などが挙げられます。治療の内容によって、健康保険が適用されるものと、適用されずに全額自費負担となるものに分かれています。
しかし、いずれの治療法の場合でも、人によっては検査や治療が複数回・長期間に及び、費用負担が大きくなる可能性もあるようです。そうした不妊治療の費用に備えるため、不妊治療を保障対象とする保険が誕生しました。
不妊治療費用に備える不妊治療保障とは?
最近増えているのは、病気やケガに備える医療保険に、不妊治療の保障が備えられているものです。不妊治療のみに特化した保険は現時点では販売されていません。
保障内容としては、所定の特定不妊治療(体外受精・顕微授精)を受けた場合に、給付金を受け取れるものが主となっています。給付金を受け取れる回数や給付金額は、保険商品によって異なりますので、加入を検討する際に確認しておきましょう。
また、保障対象になるのは被保険者が妊娠するための治療ですので、第三者へ卵子提供をするため、あるいは卵子を凍結保存するための施術は保障対象外になるようです。
不妊治療の保障がある保険に申し込むときの注意点
妊娠を希望している人にとっては心強い保険ではありますが、一方で注意点もあります。
保険の申し込み時には、自身の健康状態について保険会社へ報告する「告知」が必要となります。保険申し込み時点で既に不妊症と診断されている場合や不妊治療を開始している場合、そのことについても告知が必要です。その場合、妊娠・出産に関する保障に制限が付く場合も考えられます。
また、不妊治療に関する保障については、一定期間は保障されないという、不担保期間が設定されていることが多いようです。保険に加入してすぐに不妊治療を開始した場合、保障の対象にならないケースがあることも留意しておきたいポイントです。
もしも保険の加入が難しい場合や、すぐに不妊治療を受けたいと考えている場合には、自治体の助成制度がないかを調べてみることをおすすめします。所定の条件を満たしていた場合、特定不妊治療の治療費用や検査費用について、決められた上限額まで助成金を受け取れる制度が用意されている自治体もあります。
不妊治療を行っている間だけでなく、妊娠期間や出産時にトラブルが起こる可能性もありますので、保険の検討は早めにしておき、安心して過ごせるようにしたいですね。
※ここでは不妊治療保障の概要をご紹介しています。詳細については各保険会社のパンフレットや約款などを必ずご確認ください。