効率経営を志向する海外では親子上場は稀だ

 先日、NTT持株会社によるNTTドコモの買収が発表された。

 ドコモは株式の66%をNTT持株が保有しながら、東証一部に上場しているため、残りの34%(4兆3000億円相当)を市場から公開買い付け(TOB)するというものだ。

 国内においては、過去最大のTOBとなる。

海外では非常に稀な親子上場

 過去、上場子会社を買い戻して100%子会社にした例は、ソニーによるソニー・ミュージックエンタテインメントの完全子会社化(1999年から2000年)およびそれに伴うソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の完全子会社化、2004年の富士通による富士通エフサスの完全子会社化など数多く存在する。

 買い戻して完全子会社化にするのであれば、そもそも上場して外部株主など入れなければよいのではないかという議論もあり、株主資本主義的論理が強い海外では子会社上場は非常に稀である。

 スピンオフして完全に分離していくか、100%取り込むかという考え方が基本だ。

 今回のケースは、NTT持株からすると、完全子会社化することでドコモの利益の34%を獲得することができ、今まで流出していた株主利益の34%を取り込むことができる。

 一方、ある程度、自主独立運営ができていたドコモにとっては、100%子会社になることで、親会社であるNTT持株の意向を、ヒト、モノ、金の面で受ける可能性がある。

 一方、NTTグループ各社との連携はやりやすくなり、戦略変数が大きく拡大する可能性がある。

 この子会社の成長というのは、グループ会社を抱える親会社としてはなかなか難しい問題であるが、これを人間の親子関係に例えると、非常に分かりやすい。