「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。過去3回にわたって「偏らない投資」について説明してきましたが、今回はその最後として、「通貨」「為替」をテーマに投資を考えてみましょう。
現金のリスクは「日本円のリスク」ではない
本連載の第7回で、投資における「4つの偏らない」という考え方を紹介しました。
第8回では「①特定の国に偏らない」をテーマに、日本以外の先進国や新興国に投資する意義について書きました。
第9回では、最近人気の「テーマ型」の投資信託を切り口として、「②特定の業種・業界に偏らない」ことの大切さを述べました。
そして第10回では、「④投資の対象が偏らない」を実践するための方法として、「バランスファンド」と呼ばれる投資信託についてお話ししてきました。
残る項目は「③特定の国のお金に偏らない」です。
特定の国のお金に集中しない投資とは、どういうことなのでしょうか?
「特定の国のお金に集中しない」というと、ほとんどの場合は日本のお金、つまり「円」に集中してはいけない、と読み替えることができそうです。
「円だけに投資をしない」と書くと、「えっ、円って危ないの?」という読者の皆さまの不安が聞こえてきそうですが。
「円」が危ないのか否かについては、ともかく。
本稿のタイトルは『現金のリスク』です。ここで言うリスクとはつまり「現金だけ」を持つリスクであって、決して「円を否定」しているわけではありません。
「現金以外の資産を持ちましょう」という趣旨です。
もし円を否定するのでしたら、従来の生命保険なども意味がなくなってしまいますよね。なので、中にはドル建ての生命保険を契約なさる方もいらっしゃるとか。
では、ドルならば「安心」なのでしょうかね?
通貨を交換する比率「為替レート」は変化する
ところで「為替(かわせ)」という言葉をご存知でしょうか?
外国為替とは、円と外国のお金、例えばドルを交換する、ということですね。
円と外国のお金を交換するとき、その交換の比率は、(原則として)常に一定ではなく、変化します。
円と外国のお金を交換するときの比率のことを「為替レート」と言います。為替レートは常に変化しているのです。
その変化を示すために、下記の表を用意しました。円と米ドルの為替レートを月ごとに表したものなのですが、実際の為替レートは月どころか、秒よりも早く変化しています。が、さすがに秒よりも細かく刻んで為替レートを表すことは難しいので、本稿では月ごとの大まかな変化を示しました。
ご覧いただいて、いかがでしょう?
為替レートは月単位でも激しく変化していますし、その変化の傾向をとらえるのも、なかなかに難しいです。
と は申し上げても、この一定ではない、変化する為替レートによっては、利益を得ることができる場合もあります。