昔から国が豊かになり人件費が上がっていく中国の1つの大きな課題は「世界の工場からの脱却」そして「知財立国への転換」だ。ことに今年は、農村からの出稼ぎ労働者の労働意識向上で、例年以上に工場などでの人材確保が難しくなっている。
知財立国目指し中国独自規格をリリースし続けてきたが
技術開発・製品開発に比べれば、既存の電子部品を半田ごて片手にくっつけて組み立てる作業は低レベルで、安い人件費と安いマージンで安く組み立てるのは中国にとってはお手の物だ。
今も昔と変わらず海賊版大国であり、海賊版をほぼすべての国民が利用していることから製品にコンテンツをつけて付加価値をつけることもできず、メーカーの有名無名問わず赤字覚悟でシンプルな製品を販売し続けている。
知財立国への転換を目指し、中国は独自規格の製品をリリースし続けた。筆者自身、中国のこうした製品に長い間注目し、時に購入してきた。過去の中国の独自開発規格がどうなったのか紹介していきたい。
最もセンセーショナルだったのは、EVDプレーヤーだ。
EVDは当時ライバル視したブルーレイやHD DVD同様ハイビジョン映像が再生できることがアピールされたが、EVDソフトの正規版販売により海賊版ソフト撲滅という問題の劇的な改善も狙っていた。しかしEVDは失敗に終わった。全く売れなかった。
EVDを発売したのは5社もない
次世代の規格と言ってもDVDと全く同じディスクを採用したため、ハイビジョン映像を録画する時間は短かったのが技術的な欠点と言えた。
技術的な問題以上にEVDが普及しなかった原因は、発表会には多数の電機メーカーが顔をそろえたのに、実際に発売したのは5社もなかったことだろう。
本体購入時に10枚以上の正規版EVDディスクがプレゼントされたものの、できるだけ安くDVDプレーヤーを買い、タダ同然の海賊版ディスクを買いたい時に買うという方法を中国の消費者は選んだ。結局新作ビデオはほとんど出なかった。
しばらくして内乱が起き、別の団体が別の規格をEVD2と呼んで再度メーカーが集まって発表会を行った。