4月10日は東京都知事選挙だった。 最後まで出馬を明言しなかった現職の石原慎太郎知事の4期目当選となるのか注目されたが、結局は圧勝で選挙戦の幕を閉じた。
ロシア建国の祖の1人、ルシコフ市長解任される
現在78歳の石原都知事が4期目を満了すると82歳、知事在任期間は16年となる。
所変わって東京都の姉妹都市であるモスクワでは、昨年9月にロシア建国から間もない1992年6月から18年3カ月間、モスクワ市長の座にあったユーリ・ルシコフ氏(74歳)がドミトリー・メドベージェフ大統領によって解任された。
ルシコフ前市長はソ連崩壊からロシア建国、1990年代の激動期を、ボリス・エリツィン大統領とともにロシア政治の中心人物の一人として影響力を持ち続けた。
新世紀になったウラジーミル・プーチン前大統領の治世でもクレムリンとの微妙な力関係を維持しつつ、強力な指導力をバックに首都モスクワの繁栄を実現させた。
その当時は、彼の市政の恩恵に浴した国内外ビジネスマンはもちろん、好景気のおこぼれにあずかる白タクの運転手ですらルシコフ市長を支持していたような記憶がある。
カネの切れ目が縁の切れ目
そのモスクワとクレムリンの蜜月関係、そしてルシコフ市長とモスクワ市民との信頼関係が崩れ始めたのは、カネの切れ目が縁の切れ目であったと言うべきか、2008年のリーマン・ショック以降である。
ルシコフ市長がその利権を背景に私腹を肥やしているのではないかとの疑いは、多くの市民がかねて抱いていた疑念である。
さすがに公務員である本人が資産番付にランクされることはなかったが、ルシコフ市長の妻で建設会社を経営するエレーナ・バトゥリナ氏は、ロシアのナンバーワン女性資産家として常に番付の上位にランクされていた。
2008年のピーク時には42億ドル、本年3月に発表された恒例の米フォーブス誌の資産番付でも、同夫人は資産12億ドルで世界993位、ロシア国内76位にランクされている。