エコノミスト・カンファレンス「ジャパン・サミット2010――日本における世代シフト、新たな時代のリーダーと変革のビジョン」のダイジェスト第4回は「ビジネスの将来図」。
(撮影:前田せいめい、以下同)
このセッションは、マイクロソフト(米国本社)最高執行責任者(COO)のケビン・ターナー氏へのスペシャルインタビュー(聴き手はエコノミスト誌東京特派員ケネス・クキエ氏)と、パネルディスカッションの2部構成で行われた。
パネリストは武田薬品工業代表取締役社長の長谷川閑史氏、堀場製作所代表取締役会長兼社長の堀場厚氏、みんなの党衆議院議員の松田公太氏、中小企業庁長官の高原一郎氏、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット シニアエディターのデビッド・ライン氏。司会はエコノミストグループ コーポレートネットワーク日本 ディレクターのダン・スレーター氏。
原理原則とは異なるアイデアにも耳を傾けよ
クキエ テクノロジーはビジネスにどのような役割を果たしてきたのでしょうか。
ターナー 過去20年、30年を振り返って、IT(情報技術)の導入は物流から販売に至るまで、ビジネスの全てを大きく変容させました。
家庭や個人事業にもパソコンが使われるようになり、OS(基本ソフト)が改善されるたびにビジネスの効率性が高まってきた。そしてクラウドコンピューティングは、今まで以上にビジネスを大きく変えると考えています。
クキエ 中小企業はどのようにクラウドコンピューティングを活用すべきですか。
ターナー 中小企業のオーナーは、ITにかけるコストや固定費を削りたいと思っています。
クラウドコンピューティングを使って大容量のデータをやりとりできるようにすれば、ユーザー企業だけでなく、その顧客も含めて情報へのアクセスが容易になり、会社や国の境界を簡単に乗り越えて全世界にビジネスを非常に早く展開できるようになります。
クラウドコンピューティングは、中小企業がデジタルマーケティングやデジタル販売などの分野で大きく飛躍するきっかけになると思います。
クキエ 「世代シフト」が今回のカンファレンスのテーマです。日本では年功序列が重視され、優秀な若い人たちになかなかチャンスが与えられません。
ターナー 日本の制度が非常に成功している側面はあります。しかし日本は、もっと潜在力を活かすべき時に来ています。そのためにもバックグラウンドや年齢にとらわれず、素晴らしいアイデアは柔軟に取り入れていく必要があるでしょう。
従来のビジネスプロセスとは全く異なるアイデア、原理原則とは違うアイデアであっても、まずは耳を傾けて聞いてみましょう。自由度を持って新しいアイデア、いいアイデアを受け止め、それが成長し開花することを認めなければなりません。
上手くいくかどうか誰にも分かりませんが、試してみないことには何も分かりません。失敗は喜べませんが、しかし、それを上手く活用していけばいいのです。