チュニジアで、民衆暴動が引き金を引く形で政変が起きた。このため私自身の予定にもいろいろ影響が出てきている・・・こんなことになるとは思っていなかったのだが。

チュニジア暴動拡大、大統領が次期選挙への不出馬を約束

チュニジアで治安部隊に投石する民衆(1月10日)〔AFPBB News

 このあたり、少しご説明したい。実は、このところイスラムの源流を探るような話題をご紹介しているが、この背景には新年度から中東との仕事が始まる予定で、この2年ほど準備してきた中からトピックを選んでいるという経緯があったのだ。

 私たちはイスラム横断的なモスクの音響調査を計画しており、その中には当然チュニジアも含まれていた。

 古代ローマを滅ぼしかけた地中海の雄、カルタゴを要する2000年の都。現存する最古の木製のイスラム説教壇もチュニジアに残されている。

 チュニジアでの民衆蜂起がベン=アリー大統領をサウジアラビアに亡命させるに至った時、旧宗主国のフランスは「民主化」を支持し、米国のバラク・オバマ大統領も「勇気ある民衆」の行動を称えた。

 だが同じような意見に見えて、両者の思惑はほぼ180度違う。

 欧州にとっては旧来の買弁構造が残っている方が何かと都合が良いのは間違いない。ベン=アリーという人形の首は使い物にならなくなっても、次の人物が上手くやってくれればフランスとしてはそれ以上のものではないだろう。

 資源に富むフランス語圏アフリカに常に羨望の眼差しを注ぐ米国は全く違う期待を持つ。あえて図式的に言うならドルとユーロとの綱引きと言ってもいいだろう。

 しかし今回の焦点はそこではない。今回のチュニジア政変に別の興味を持つ勢力がある。イスラムである。イランのアフマディネジャド大統領は「チュニジア民衆がイスラム国家を建設することを期待する」と早々に声明を発信した。

ヨーロッパ語族の源流?

 ところで「イラン」という国名の由来をご存じだろうか?

 イラン(IRAN)とはアーリア人(Aryan)の国という意味を持つ。アーリア人とは古代インド・サンスクリットで「高貴な」という意味を持つ「arya」に由来し、ほかの民族より自身が高貴・優秀であると考えた彼らが自称したものだという。

 ここで「アーリア民族」の「優秀性」というと、何かを思い出す方があるかもしれない・・・。