昨年の年末から正月にかけて、まとまった休みが取れたこともあり、前から欲しかったアップルの「iPad」を購入した。
娘は就職活動に備えて、すでにiPadを購入済みであった。電源スイッチを入れてから15秒ほどでメールソフトが立ち上がるので、企業の人事部からのメールもすぐに確認できて便利だという。
この休みには、息子から「iPod touch」も安価で買い取らされた。息子は何かのイベントの景品で手に入れたのだが、すでに所有していたので、私に売りつけたのである。
iPadには、私の今までの常識が覆された。何と取り扱い説明書がないのである。一体、どうやって使えというのか? iPod touchに至っては、パソコンに接続して必要なソフトを自分でダウンロードしてくれとのことだ。
娘に聞くと、それでもまったく「問題ない」とのこと。「ツイッター」でユーザー同士、仲間同士で教え合うというのだ。
私は「iPad」と「iPod touch」を手に入れて、いろいろと考えさせられた。こうした製品は、今後の社会やIT業界をどのように変えていくのだろうか。
ワークステーションからPCへ、そしてネット時代に
自分がIT業界に入った1990年代初頭以来の技術の流れを思い浮かべてみた。
80年代後半から、「ホストコンピューター(メインフレーム)からワークステーションへ」というダウンサイジングの流れがあり、その中で「クライアントサーバー」という処理形態が出現してきた。
ワークステーションとは主に「UNIXサーバー」と言われるもので、DECやIBM、ヒューレット・パッカード、サン・マイクロシステムズなどのメーカーがしのぎを削った。
その後、UNIXワークステーションはPCへと移り変わっていく。
91年に私がアーンスト&ヤングに入社した時には、アップルコンピュータ(現アップル)のPC「マッキントッシュ」が社員全員に支給されていた。「エクセル」や「ワード」もこの頃から使い始めた。初めて3.5インチのフロッピーディスクを使った時期でもあった。
転職して勤めた商社では、沖電気の「if800」というPCを使った。1人1台ではなく、部門に1~2台程度であった。やがてウィンドウズPCが普及し、PCは「消耗品」となっていく。