ロシア北西部の白海の沿岸に「セヴェロドヴィンスク」という都市がある。原子力潜水艦の基地と造船所を擁する重要な港町である。
ここ、セヴェロドヴィンスクで、ロシアで2番目となるボレイ型原子力潜水艦の進水式が行われることになった。
この船は、13世紀のロシアの英雄の名を取って「アレクサンドル・ネフスキー」と名づけられた。ちなみに同じ型の1番艦は、12世紀の英雄で、モスクワの建設者として知られるユーリー・ドルゴルーキーの名前が付けられている。
「ボレイ型」とは、従来の数倍の能力を持つ第4世代の戦略原子力潜水艦だ。アレクサンドル・ネフスキーは、現在開発中の「ブラヴァー」型弾道ミサイルの装備を計画している。ブラヴァーの射程距離は約8000キロメートルに及び、核弾頭が最大10個まで搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイルだ。
原子力潜水艦、戦略爆撃機を刷新
ソ連末期、様々な潜水艦搭載用のミサイルが開発されていたが、あまり成果は上げられなかった。ソ連が崩壊すると軍事予算が削られ、1990年代末にその開発は中止された。
だが、2000年代に入ると、オイルマネーのおかげでミサイル開発が再び始められた。そこで開発が進められたのが大陸間弾道ミサイル「トーポリM」であり、トーポリMをベースとしたブラヴァーである。
ロシアは2005年から2009年にかけて、何度もブラヴァーの発射実験を重ねたが、そのたびに落下したり、軌道から逸脱したりするなど、失敗の連続だった。だが、2010年10月に行った実験では、白海の潜水艦から2回発射されたブラヴァーが、カムチャツカにある「クラ」という射爆場に正常に着弾した。