米国海軍潜水艦の隻数は今後減り続け、大底を今から18年後の2028年につける。所要隻数を下回るいわゆる「サブ・ギャップ(sub gap: submarine gap)」の状態がその間に継続し、どこかの時点で米中潜水艦勢力の少なくとも西太平洋における逆転が生じ得る。

アイスランド・中国急接近がもたらすもの

アイスランドの巨大温泉「ブルーラグーン」

アイスランドに急接近する中国。写真はレイキャビク近郊の大露天温泉「ブルーラグーン」〔AFPBB News

 アイスランドと中国が急接近した背景に、北極航路共同探査という目的があることは、つとにアイスランド外務省の発表によって明らかになっている(この点を含む両国関係につき、月刊『WEDGE』10月号所載拙文参照)。

 向こう20年を見通すと、中国商船隊が日本海を突き抜けてか、または太平洋を北上し、北極海へ入って北米と欧州に向かい、双方からほぼ等距離のアイスランドを中継デポ地とする中国なりの目算が浮上する。中国海軍潜水艦隊は、おのずからこれと行動を共にするだろう。

 その時、米海軍の潜水艦勢力は、史上最小となることが既に予見できているわけである。

北方領土は取れるだけ早く取る

 今こそ対ロ北方領土交渉で原則論を修正し、面積2分論をも念頭に置きつつロシアから取れるものを取っておくことが枢要と思うが、どうだろうか。

 北方の地政学的条件は、既に変わった。今後一層の激変を遂げる。変化の因子は、もっぱら中国海軍のアウトリーチである。この際北極海の入り口に日本のウォッチポストがあるのとないのとでは、中国海軍に対する抑止力に有意の差が生まれると考える。

 自分の自由にできる島があること、そこから延びる排他的経済水域があることこそが戦略上の重要事項であり、4つ丸ごと奪還できるかどうかは二次的のように思えてならない。