1月24日に行われた沖縄県の宜野湾市長選で、安倍政権が支援した現職の佐喜真淳氏が再選された。これまで県内各市の選挙では、基地に反対する「オール沖縄」が連勝で、宜野湾市は普天間基地の地元で反基地感情が特に強いといわれていたので、今回の選挙結果は県民感情の変化をうかがわせる。
普天間基地をめぐっては、仲井真前知事が承認した辺野古移設を翁長雄志知事がくつがえし、国の工事の差し止め訴訟を起こす異常事態になっている。もう欺瞞的な「反基地ごっこ」はやめよう――県民はそう考え始めたのではないか。
「沖縄だけが被害者だ」という欺瞞
普天間が「世界一危険な基地だ」というのは都市伝説で、今まで死傷者は1人も出ていない。「在日米軍基地の75%が沖縄に集中している」というのも神話で、基地の多くは自衛隊などとの共同管理施設だから、沖縄にあるのは23%だ。
それなのに沖縄がいつまでも反基地を叫ぶ原因は、地元メディアが県民に刷り込んできた被害者意識だ。江戸時代まで琉球は独立王国だったのに、1872年の「琉球処分」で日本に編入されたというのが、沖縄の人々が教わる歴史だ。
確かに琉球は独立していたが、人口の4割が士族で、その所得は本土よりはるかに低かった。それが廃藩置県で改革され、本土から多額の援助が行われたのだ。
沖縄は第2次大戦の末期に戦場となり、軍民あわせて約18万人の死者を出したが、東京大空襲を初め各地の空襲と原爆でも数十万人の死者が出た。地上戦が行われたことを理由に、沖縄だけが戦争の犠牲者のようにいうのは欺瞞だ。
1952年のサンフランシスコ講和条約で、沖縄はアメリカの信託統治領になった。沖縄の人々はこれを「日本が沖縄を見捨てた」と思っているが、日本政府は沖縄を日本の領土としておきたいと要望した。