「太平洋石油パイプライン」始動、プーチン首相がボタン押す

ロシア・ナホトカ近郊のコジミノ港で、防寒着に身を包み、完成した原油積み出し施設の原油初の積み出しを祝う記念式典の会場に到着したプーチン首相。(2009年12月28日撮影)〔AFPBB News

 「日本の原油輸入先は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ロシアの順となっている」──。報じたのは「イランラジオ日本語」(2015年2月27日付)である。核開発を巡る制裁でイランからの原油輸入量がロシアの3分の1にまで落ち込んだ状態を嘆いているのだろうか(イランは2008年までは第3位の原油輸入国だった)。

日本にとって存在感が高まるロシア

 経済産業省が2月27日に公表した「石油統計速報(平成27年1月分)」によれば、輸入量の多い順に、①サウジアラビア(523万キロリットル)、②アラブ首長国連邦(430万キロリットル)、③ロシア(180万キロリットル)、④カタール(171万キロリットル)、⑤クウエート(126万キロリットル)となっている(注:1バレル=約159リットル)。全体の輸入量が前年比で12.7%減少している中で、ロシアからは13.8%増加し、そのシェアも10.5%となっている。

 日本の原油輸入量に占めるロシアの割合は2014年10月にカタールを抜いて第3位となった。それまで約8%だった割合は、10月以降、2015年1月に至るまで10%台を維持している。これにより、原油輸入の中東依存度も80%を下回るようになった。

  2014年後半からの原油価格急落で、ロシア経済を懸念する論調が多い。だが、昨年のロシアの石油生産量は日量平均1058万バレルと、ソ連崩壊後では最高となった。原油生産量第1位のロスネフチの原油生産コストは1バレル当たり約4ドル。これはサウジアラビアとほぼ同等の水準である。