前回、予定を変えて川崎市の少年事件を取り上げたところ、同じ日に容疑者として3人の少年が逮捕される展開となり、多くの方がコラムにアクセスして下さったことを編集部からうかがいました。ありがとうございます。

オウム真理教の平田容疑者を逮捕、逃亡17年

オウム真理教関連の番組を放送するテレビを見る人たち(1996年4月24日撮影)〔AFPBB News

 同時に時事の話題を取り上げると、普段は連載を読んでおられない方が目を通され、場合によると浅い誤読や、はなはだしいケースでは正反対の意味に勘違いされる例なども見かけます。

 私がオウム真理教による地下鉄サリン事件で、実行犯となってしまった東京大学物理学科の同級生とこの20年どのような仕事をしてきたか、といった経緯をご存知の連載読者の方なら絶対に読み誤ることのない入り口で躓く人が出るのも、ネットで不特定多数の読者が訪れるこのメディアの特徴だと思います。

 先週は高橋克也被告のオウム裁判もあり、オウムの再発防止に関連する内容は3月20日、地下鉄サリン20年に記したいと思っています。

 今回は哲学熟議「次世代エネルギーへのソフトランディング」の話題を1回お休みし、川崎市のケースに絞っていくつか「読み切り」の内容を記してみましょう。

バンジージャンプとイニシエーション

 2月20日に多摩川の川原で遺体が発見された刑事犯罪を、ここではあえて「川崎少年事件」と呼びたいと思います。

 それは「少年殺人事件」という被害者が13歳の子供であるという点のみならず、現在逮捕されている容疑者が18歳1人、17歳2人と全員が子供であること、加害者・被害者を含む全体が未成年の環境で発生しているので「少年の事件」として全体を考えたいと思います。

 誤解のないように、これは「少年法」がどうこうという話ではありません。より人間にとって本質的な問題に焦点を当てたいと思っています。