大韓航空機爆破事件の実行犯である金賢姫元北朝鮮工作員が、去る7月20日から4日間来日した。日本政府は、警備上の理由で往復のチャーター機及び滞在先として長野県軽井沢市の鳩山由紀夫前首相の別荘を提供した。
日本人の8割が評価しなかった金賢姫・元死刑囚の来日
そこで金元工作員は、北朝鮮での日本語教育の教官であった田口八重子さんの家族や横田めぐみさんの両親ら多くの拉致被害者の家族と面会している。
しかし、日本人拉致問題を巡る新しい情報が得られないまま、予定した滞在日程を終え、7月23日韓国に帰国した。
今回の金元工作員の来日に対して、世論(日経新聞電子版クイックVote)は、約8割近くが来日を「評価しない」と判定している。その原因を以下に推論してみた。
1.手詰まりを打破するポスト来日後の戦略の無さ
仮に金元工作員から日本人拉致被害者に関する新しい情報が得られたとして、現状の拉致交渉の手詰まりの中で、政府はその情報をどのように活用するつもりであったのか。ポスト来日後の戦略が全く見えてこない来日であった。
もちろん、政府として今後の交渉のために、手の内をすべて明かすわけにいかないことは自明の理であるが、それにしても、今回の政府関係者の答弁からその意識すら全く感じられず、手詰まり感が今後も継続すると感じたことが、今回の来日を多くの国民が「人気取り」と解釈した結果であろう。