6月11日、中国空軍の戦闘機がまたも自衛隊機に異常接近する事件が発生した。その距離は前回と同じで約30メートルだったという。飛行機に搭乗すれば分かるように、航空機は乱気流やエアポケットに巻き込まれると急降下することがあり、不測の事態も十分にあり得る。なぜこのような危険な飛行を繰り返すのか。
言うまでもなく、ここには中国の領土拡張主義がある。東シナ海では尖閣諸島周辺の日本の領海を何度も侵犯し、南シナ海では西沙(パラセル)諸島などの領有権をめぐってベトナムと対立する中で一方的に石油の掘削工事を強行し、それに抗議するベトナム船舶に体当たりを行うなど、無法行為を繰り広げている。
これらは中国人民解放軍の海軍が行っていることだが、この海軍の強硬路線に後れを取ってはならないというのが空軍の立場だ。そこで一方的に防空識別圏を設定したことから、「空軍もやりますよ」ということだろう。こんなことを放置すれば、中国はますます図に乗ることになる。
ウクライナをめぐってG7(先進7カ国)がロシアへの非難を強めているが、いま中国が東シナ海、南シナ海、あるいは日本の防空識別圏で行っている行為は、それに劣らない無法行為だ。南シナ海での行為をアメリカは厳しく批判しているが、国際社会は中国への批判をためらってはならない。
中国共産党は自らの汚辱にまみれた歴史を直視せよ
この6月4日は天安門事件25周年の日だった。天安門事件とは、1989年6月4日、胡耀邦元共産党総書記の死をきっかけに、学生や一般市民が胡耀邦追悼、民主化を求めて天安門前広場に集結したのに対し、当時の中国共産党指導部であった鄧小平、李鵬らが人民解放軍を動員して大弾圧と虐殺を行った事件である。中国の公式数字では殺されたのは319人とされているが、3000人から1万人と推定する数字もある。