本記事は6月6日付フィスコ企業調査レポート(大研医器)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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8期連続の増収経常増益、更に成長スピードは加速へ

 病院内で使用する吸引器(フィットフィックス関連)や加圧式医薬品注入器(シリンジェクター関連)で国内トップシェアを持つ研究開発型の医療機器メーカー。ユーザーの利便性向上に役立つ独創的な開発力が強みで、収益性の高いディスポーザブル(使い捨て)製品を主軸に高成長を続けている。

 2014年3月期の業績は売上高が前期比8.0%増、経常利益が同12.1%増と8期連続で増収経常増益となり、過去最高を更新した。キューインポットやPCA装置付きシリンジェクターなど、同社の主力製品が市場シェアを拡大、好調に推移したことが主因だ。2015年3月期もこれら製品がけん引役となり、売上高は前期比6.3%増、経常利益は同10.6%増と増収経常増益基調が続く見通し。

 同社は5年後の売上高30,000百万円の達成を目指すため、既存製品の成長に加えて新製品・新領域への展開を強化していく方針だ。今後の成長をけん引する新製品としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を活用したディスポーザブル型医療機器が挙げられる。MEMSデバイスを用いることによって、従来よりも機器の小型化や低コスト化が実現可能となる。これらMEMS技術を活用し、新領域となるドレナージを投入することに加え、既存領域である加圧式医薬品注入器やシリンジポンプ等を改良していく計画で、いずれは欧米市場での販売も視野に入れている。

 その他、新製品としては、咽頭冷却装置(販売名:クーデックアイクール)や肺炎起因菌の即時同定検査システムなども今後、相次いで業績拡大に貢献してくるとみられ、2016年3月期以降の成長スピードは一段と加速していくことが予想される。

 同社は株主還元に積極的で、配当性向40%を目安としており、2014年3月期は前期比2.5円増配の24.0円、2015年3月期は3.0円増配の27.0円と連続増配を予定している。今後も業績の成長により、更なる増配が期待されよう。また、株主優待制度として3月末時点において100株以上保有の株主に対し、クオカード1,000円の贈呈も行っている。

Check Point

●主力の医療用吸引器・加圧式医薬品注入器で国内トップシェア
●主力製品の好調により8期連続の増収経常増益に
●新規顧客の開拓などにより成長路線は持続へ
●新製品投入で成長ポテンシャルは拡大

事業概要

主力の医療用吸引器・加圧式医薬品注入器で国内トップシェア

 病院内で使用する吸引器(フィットフィックス関連)、加圧式医薬品注入器(シリンジェクター関連)で国内トップシェアを握る。ユーザーの利便性向上につながるような独創的な製品開発力が強みとなっている。生産体制については、国内に試作・少量の生産ラインを自社で持っているが、量産段階に移ると国内外の外部企業に生産委託する形をとっており、需要の変動にも迅速に対応できる体制を整えている。付加価値の高いディスポーザブル型の医療機器を開発し、市場シェアを拡大することにより、高成長かつ高収益で安定性の高い収益体質を築き上げている。

 同社の事業別売上構成比を見ると、直近5期間ではフィットフィックス関連がウエートを徐々に上げており、2014年3月期では全体の60.6%を占めている。シリンジェクター関連の24.6%と併せると、両事業で売上高の85%超を占めており、同社の収益はこの2つの事業が収益柱となっていることがわかる。事業セグメント別の概要については以下のとおり。