最近ある友人のSNSのプロフィールに変なおじさんの写真が載っていた。写真の下には「義理がたく、いい人になろう」という文句がある。
筆者の偏見かもしれないが、写真の彼はとても「いい人」には見えない。 黒いジャケットに黒のサングラス、長いもみあげはロックスター、エルビス・プレスリーを意識しているのだろうか。
株をやっては大損、友達の連帯保証人で大借金・・・
写真の彼は、キム・ボソンという俳優である。
俳優とはいえ二十数年前のデビュー作がヒットしただけで、ほとんど鳴かず飛ばずの状態が続いていた。最近はややカムバックしつつあったが、それでもバラエティー番組で多少見かける程度だった。
韓国のバラエティー番組では、何に対しても「義理」というのを付けたがる。だから、初めて彼を見る人は俳優とはつゆ知らず、「義理キャラ」の芸人だと思うかもしれない。
だが、彼の素性を見ると、涙が出るほど暗い人生を送っていたようだ。これまで俳優としてはほとんど売れていないばかりか、様々な副業ビジネスに失敗してきた。
株をやっては大損したり、友だちへの義理のために連帯保証人になったばかりに借金まみれになったりして、最近バラエティー番組に出られるようになる前は生活費さえままならない状態だった。それにもかかわらずキム氏は一貫して義理を重んじてきたという。
そして、ついにこの「義理」だけを一途に叫んできた俳優、キム・ボソンにも陽の目が当たる日が来た。最近、彼が出演した「義理」コンセプトの飲料コマーシャル(CM)が大当たりして、これをパロディーしたものまでがネットに出回り始めたのだ。
韓国の伝統的な飲料とは全く関係なく、彼はCMの最初から最後まで「義理、義理、義理」を叫び、ガッツのあるアクションを見せる。韓国語で義理は「ウィリ」と発音するのだが、彼の口から聞こえてくる音はほとんど「ウリ」に近い。