5月5日の子供の日、東京大学本郷キャンパスで「哲学熟議」第2回「アンネの日記と戦後倫理」を開催しました。

連休中ながら、満場となり立ち見も出た東京大学哲学熟議「アンネの日記と戦後倫理」。講師は公共哲学の山脇直司名誉教授

 連休中でもあり、少人数でこじんまりと、と思っていたのですが、JBpress、東京新聞の告知なども功を奏し、満場の参加者で熱のこもった議論が展開されました。

 この連載でもお伝えしてきた通り、私は一芸術音楽家としてこの問題に答えるべく、駐日オランダ大使館、アムステルダムのアンネ・フランク・ハウスをはじめとする諸機関と協力のもと、アンネのテキストによる音楽劇場作品に着手することになりました。こうした国際プロジェクトのご報告も随時していきたいと思っています。

 私たちのプラザファウンデーション・東京アートミュージアム(東京都調布市仙川町)では、これと併せて『隣人』現代イスラエル写真展を開催しています。ユダヤ系、パレスチナ系双方のイスラエル人作家による、中東の平和的共生を希求するアート展示は、現下の政治状況下、少なくとも日本では初めての開催になると思います。

 5月17日には東京アートミュージアムで、アーチストトークに加えて、素晴らしい若い才能であるヴァイオリンの土岐祐奈さんによる私の委嘱作品「囁きの国境」の世界初演のイベントがあります。追ってまた告知いたしますが、入場無料で開催しますので、ご興味の方にはどうぞお運び頂ければ幸いです。

 東京大学での『哲学熟議』は「3.11」の震災原発、5月5日の「アンネの日記と戦後倫理」に続いて、7月第1週には「生命倫理と研究倫理・・・STAP細胞問題に端を発して」と題して、次回の開催を予定しています。

 こちらも国立大学法人の価値還元行事ですので入場料などは必要ありません。ご興味の方にはどうぞ奮ってご参加頂ければと思います。

倫理の大本が崩れている

 ここで、大学で「倫理」に焦点を当てて考えたいと思うのです。

 5月8日の夕刻、NHKは「専門家・小保方氏のノートは落書きレベル」と見出しを打って公開されたノートに関する過不足ない内容を報道しました。内容を確認してみましょう。

 「小保方晴子研究ユニットリーダーは7日、実験ノートの一部を公表しましたが、理化学研究所の調査委員会は、報告書の中で具体的な記述がないなど実験ノートからねつ造はなかったとする小保方リーダーの主張を科学的に裏付けることは不可能だと結論づけました。専門家も「明らかに記述が足りず証拠になりえない」と指摘しています」