東日本大震災から3年の歳月が流れた。目にするたび、心が痛んだがれきの山も、9割以上処理が終わったようだ。分別により97%リサイクルを達成したという「東松島方式」にも感心させられる。
ドキュメンタリー映画『TRASHED ゴミ地球の代償』(2012)は、冒頭、レバノンの海岸線で14メートルもの高さにそびえたつゴミの山を映し出す。自然災害の結果ではなく、消費社会の副産物だ。
ゴミだらけの川が貴重な生活用水
『炎のランナー』(1981)で知られるヴァンゲリスの音楽をバックに、製作総指揮も兼ねたアカデミー賞俳優ジェレミー・アイアンズは、さらに、英国、アイスランド、ベトナムなどを巡り、「埋めたてれば土壌汚染、焼却すればダイオキシン」などと言われるゴミ処理の現実を提示する。
続いてアイアンズはインドネシアへと向かう。そして目にするのが、ゴミだらけの川が貴重な生活用水でもあり、体や服を洗い、飲料水ともなっている現実。
そんなゴミと隣り合わせの日常には目をそむけたくなるが、南アジア、アフリカなどのスラムをたびたび訪れていると、「いつも見る風景」でしかなくなる。
ゴミは川から海へと流れ出す。そして、大海を漂い、遥々、人気(ひとけ)など皆無の海域へとたどり着く。南・北太平洋、南・北大西洋、インド洋、5つの地域にある海流の渦、海洋ゴミ(Marine debris)の集合場所「ゴミベルト」である。
現在劇場公開中の『オール・イズ・ロスト』(2013)では、ロバート・レッドフォード演じる主人公の船が、漂流するコンテナと衝突したことから、過酷な現実に立ち向かわなければならなくなる。
しかし、それほど大きくなくとも、海洋ゴミは広大な海で生活する生物たちの運命を変えてしまっている。レジ袋やペットボトルのキャップにがんじがらめになった鳥や亀の写真を誰しも一度は見たことがあるのではないだろうか。
あらゆるものを包装し、数十数百億単位のボトルや袋が作られるプラスチックは、毎年、600万トンほど海へと流れ込む。紙は1カ月、木は10年で分解するが、寿命の長いプラスチックは、最後には肉眼では認識できないほどの大きさの粒子となる。
そして、海流がぶつかり海底へと向かうところでも、その軽さゆえ、海面近くとどまり、餌と混同した鳥が食して健康被害を引き起こすことが、ミッドウェイ環礁に生息するアホウドリの研究で明らかとなっている。