8日に消息を絶ち、ほぼ2週間を迎えようとしているマレーシア航空370便の機体はいまだ行方不明。日を増すごとに、謎はかえって深まる一方で、日本を含む世界のメディアの“謎解き”合戦も過熱している(19日発売の「週刊文春」「週刊新潮」でも筆者の記事等で報道)。

同性愛行為でのアンワル氏有罪判決に落胆した機長の”暴挙”?

17日夜、単独インタビューに答えたマレーシア元副首相のアンワル・イブラヒム氏(写真提供:筆者、以下同)

 そんな中、今“渦中の人”と、その言動や挙動に注目が集まっているのが、アジアで著名なマレーシアのカリスマ野党指導者、アンワル・イブラヒム元副首相(66歳)。

 捜査線上に、ザハリ機長の「自殺説(ジハード)」が同機の有力な失踪原因として浮上する中、同機長が野党支持者で、かつ熱烈なアンワル支持者であることが判明。

 しかも、MH370便が消息を絶つ前日の7日夜、マレーシア上訴裁判所でアンワル元副首相に対し、同性愛行為による禁固5年(連邦裁=最高裁にすでに上告)の有罪判決が下ったことにザハリ機長が大きな落胆を覚え、判決の数時間後にクアラルンプール国際空港を離陸した同機を道づれに自決したとも憶測されている。

 有罪判決および同機失踪の後、日本のメディアでは初めて単独インタビューに応じたアンワル元副首相は、機長の自殺疑惑や自身との関係、マレーシア政府の対応能力、さらには今月23日に投開票が実施される首都近郊のセランゴール州議会補選や、4月の米オバマ大統領マレーシア訪問への期待などについて語った。

 インタビューが行われたのは、アンワル氏が率いる野党連合のPKR(人民正義党)本部。

 まず、マレーシア政府の危機管理体制やその対応について中国政府などから批判が上がっていることに対し、「マレーシア政府は、初動の情報開示から失態を繰り返した。ICPO(国際刑事警察機構)に盗難パスポートを利用した乗客の照会をせず、非常に重要な飛行ルート情報に関しても二転三転した」とした上、「国家機密の問題はさておき、非常に未熟でプロフェッショナルでなく、真実を述べていない。情報開示において透明性を欠いており、国際社会から疑いの眼差しで見られている」と非難。

 さらに、アジアの周辺諸国への配慮にも欠けると発言し、「中国政府だけでなく、ベトナム政府もマレーシア政府の対応を非難している」と付け加えた。