Vineというスマートフォン(スマホ)の動画アプリがある。2012年10月にTwitterに買収され、昨年2013年1月24日にサービス開始してまだ1年のアプリだ。

制約のなかで生まれる表現

Vineの撮影画面(写真提供:筆者、以下同)
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 Vineでできることは動画の撮影と編集、シェアの3点。そして、撮影、公開できる動画の長さはわずか6秒である。編集といっても、撮影したコマの順番を変えるだけである。

 そのコマの順番を変えることで、見る人を面白がらせるオチつきの映像作品がたくさんアップされている。なかでもReikaさんのVineは序破急3段オチでとても面白い。

 当初はアートな動画が多かった気がするが、いまはおバカな動画であふれている。おバカといっても、編集されているのだから作者の意図が加わった映像表現である。いわば、コンテキスト(文脈)のある映像版俳句である。

 制約が名作を生む。よく聞く言葉である。まさに、Vineが持ち込んだ6秒とコマ編集は、その制約によって映像世界のフロンティアを拡大したのではないかと思うが、どうだろうか。

ダイジェスト化する世の中

 ツイッターの140文字や、ヤフーニュースの15文字のタイトル。デジタル上の伝達表現はとても短い。ヤフーのマリッサ・メイヤーCEOは、「tl;dr」(too long, didn't read)、つまり長文の記事は誰も読まないということを今年のCESで話していた。

 長文を読まないどころではない。とある出版社の編集の方は「タイトル見ただけで内容を分かったような気になってる人が多い」と言っていた。本の価値はタイトルにしかないのか。そんな出版社ですら「この本の企画を一言で説明するとなんですか?」と聞いてくる。