今回は最新住宅ではないが、興味深い取り組みを行っている公的賃貸住宅を紹介したい。
(注)住宅・土地統計調査における所有関係をそれぞれ次のように言い換えている。民営借家-民間賃貸住宅、都市再生機構・公社の借家-都市再生機構・公社住宅、公営の借家-公営住宅。
(資料)平成20年住宅・土地統計調査 拡大画像表示
公的賃貸住宅とは、市区町村、都道府県の公営住宅、及び都市再生機構や住宅供給公社などの公的な団体が供給する賃貸住宅である。
公的賃貸住宅は全国に約300万戸あり、全住宅の約6%を占めている(図1)。その特徴は、民間賃貸住宅に比べて、居住者の居住年数が長いことが挙げられる(図2)。
また、多くの公的賃貸住宅に自治会が設置されており、独自の活動が行われている点も民間賃貸住宅とは大きく異なる特徴である。
自治会があることは、住民や地域との共助の関係づくりの主体となることが期待でき、災害対策の面でもその取り組みが注目される。今回紹介するのは、地域の中高生と一緒に防災活動を行う都市再生機構団地自治会の取り組みである。
(注)主世帯の世帯人員。公的住宅は公営・都市再生機構・公社の借家を、民間賃貸住宅は民営借家の言い換え。
(資料)平成22年国勢調査
中学生、高校生が参加する防災訓練
東京都足立区にある「大谷田一丁目団地」は、JR常磐線亀有駅から北へ徒歩15分ほどにある、14階建て8棟、11階建て2棟からなる総戸数1374戸の団地である。
この団地では、団地自治会が中心になって20年近く毎年、避難訓練を行っており、4~5年前から中学生、高校生が参加するようになった。団地の近隣にある区立中学校と都立高等学校の生徒である。
区立中学校と都立高等学校は、近くにある区立小学校とともに避難所に指定されている。これらの学校と大谷田一丁目団地自治会をはじめ6つの自治会及び区立こども園で、「避難所運営本部」を組織して、災害時に備えて毎年避難所運営訓練を行っており、これにも中高生が参加している。