米IDCが11月に発表した世界でのスマートフォンの出荷台数の調査の結果によると、アンドロイド(Android)」を採用した端末は、同年第3四半期(7~9月)に世界で2億6110万台出荷され、初めて80%のシェアを超えた。
海外はアンドロイド端末の独走状態。大画面への需要、ますます高まる
アンドロイド端末の出荷台数のうち約40%のシェアを占めるサムスン電子は、「GALAXY Note」や「GALAXY S III」など、画面が大きなスマートフォンを先行して市場に投入しており、それらは、海外では既に人気機種である。
日本では一般的に、「大きすぎる」という第一印象が強いようだが、実際手に取ってみると、その「大きさ」が一番の魅力という人が実は多い。
今、ビジネスパーソンは、外出時にノートPCの代わりにタブレットを携帯する人も増えている。タブレットはノートPCよりだいぶ小さいとはいえ、スマホや携帯との2台持ちをしていると意外とかさばる。
しかし、スマホとタブレットの両方の要素を持つLサイズスマホ*なら、複数のデバイスをオールインワン化できる。そして、その利便性が、海外での人気の高さにつながっているのかもしれない。
* Lサイズスマホとは、5.5インチ以上6.5インチ以下の画面サイズを持つスマートフォンを指す。
従来よりもひとまわり小型化したアップルのタブレット「iPad Air」も根強い人気だが、電話の機能はない。日本での発売が期待されるソニーモバイル初のファブレット端末「Xperia Z Ultra」など、今後は各社メーカーが競ってLサイズスマホを発表し、これがスマホの主流となっていくだろう。
指操作のストレスから解放
Lサイズスマホが人気の理由として、「大画面」で見やすいことは言うまでもないが、「Note」シリーズの「スタイラス(タッチペン)」による操作性の良さは、予想以上で驚いた。
今後のビジネスシーンにおける「手帳などのアナログツールの無用化」や「ペーパーレス化の進行」、「文書作成から提出までをPCを介さずに行うことの一般化」を予感させるほどのインパクトがあった。
筆者は移動中、取材の下調べなど、ウエブで情報を収集することが多いのだが、画面に表示したウエブサイトや画像、動画などをスタイラスで囲むだけで簡単にテーマごとのスクラップ&保存ができるスクラップ機能は移動中、頻繁に利用する。
また、企画のアイデアを膨らませたり、思考を整理したりする際に、スタイラスを使い、大画面に直接書き留めることができるという利点は大きい。移動中に手帳とペンを取り出すとなると場所を選ぶし、かといって指で入力するのはストレスだからだ。
なぜ、「Lサイズスマホ」が世界で評価されるのか
様々なテンプレートが用意されている「Note 3」のノートアプリの中でも、筆者がよく使うのは会議テンプレート。手帳にメモを取るように、手書きした会議内容をその場でデータ化できるだけでなく、一瞬にしてテキスト化することも可能だ。会議出席メンバー間の情報共有も簡単で、紙で出力して配布する必要もない。
また、ちょっと調べ物をしたい時はスタイラスを使ってキーワードを書けばよい。それで即座にウエブ検索してくれるのだ。ほかにも、電話番号を書けばそのまま発信でき、住所を書けば地図を検索してくれるという便利さには感動した。
このような点が、米国顧客満足度指数(ACSI)の調査で「Note」シリーズが高い評価を受け、海外でシェアを高めている理由なのだろう。
近い将来、企画書は作成からデータ共有、さらにはスライド投影まで、Lサイズスマホで行うのが当たり前になる時代がくるかもしれない。
この利便性は、日本ではまだあまり気づかれていない。ただ、ビジネスシーンに大きなインパクトを与えるこれらの利便性が普及すれば、間違いなく日本でのシェアも広がっていくだろう。