「コンサルタントは何人ですか?」「エンジニアは何人ですか?」

 これは、筆者の経営する会社で社員の採用をする際、人材紹介会社の人に必ず聞かれることである。つまり、「採用したい人数を職種ごとに教えてください」と言っているのだ。

 筆者は近頃、人材紹介関係の人たちとお会いするたびに、こういった必要な職種やスキルの問われ方に違和感を覚える。

 職種名称自体はすでにIT業界に定着しているものであり、ここでその表現について難癖をつけるつもりはない。しかし、尋ねてくる側は、その職種とは「何ができる人なのか」について、実は理解が曖昧だったりする。そのため単に言葉だけでのやりとりになることがあまりにも多い。

 さらに、応募者してくる人の職種の自己申告というのがまったく当てにならないのである。実際の仕事の現場においても、「コンサルタントです」と言って登場した人が全然使えないという話は枚挙にいとまがない。

 果たしてこの職種名というのは意味があるのだろうか?

使えないコンサルタント、使えるエンジニア

 最近、我々が関わったシステム開発プロジェクトで経験した事例を挙げてみたい。

 そのプロジェクトにおいて、システム開発の実作業を担当したのはA社である。A社が「コンサルタントをプロジェクトに加わらせたい」というので、「コンサルタント」に入ってもらった。ところこのコンサルタントががなかなか機能しない。

 「この項目は言われた通りこういう設定をした」「この項目はなくせと言われたので削除した」というように、会議で挙がった要件をただそのまま実装するようエンジニアに指示し、対応状況を管理するのみなのである。