BBCが行った映画音楽の人気投票で「スター・ウォーズ」がナンバーワンとなった。「Sound of cinema」という番組を持つBBCがオンライン投票の新システムのテストも兼ねて行ったもので、リストアップされた20曲の中から選ばれたものである。
第2位は「続夕陽のガンマン」。以下、「ウエストサイド物語」「アラビアのロレンス」「めまい」「第三の男」と続く。
映画は無音の時代から音楽とともにあった
この結果を見て、すぐさまメロディが思い浮かぶのは40代以上の方ではないだろうか。60代ともなればその比率はずっと高くなるはずだ。
かつて日本には「好きな音楽は?」と聞かれ「映画音楽」と答える者も少なくない時代があったのである。
『スター・ウォーズ』(1977)からちょうど半世紀前、『ジャズ・シンガー』(1927)で映画は「トーキー」となり声を持った。しかし、映画は「無声」時代から常に音楽とともにあった。
1895年12月28日、パリの一室での映写会で、リュミエール兄弟が映画を「誕生」させた時も、ピアノの伴奏があった。翌年5月、ロンドンの劇場で一般公開された時には、オーケストラの演奏も用意された。
もっとも、音楽には映写機の騒音をごまかすという別の役割もあったのだが・・・。
音楽家たちはスクリーンをチラチラ見ながら場面に応じ既成曲を演奏していた。後年の映画『ラムの大通り』(1971)などにそんな演奏家の姿を見ることができるが、首をたびたび上下させ無理な体勢での演奏は大変な重労働だった。
1908年、フランスで、初のオリジナル映画音楽「ギーズ公の暗殺」が生まれた。作曲は「動物の謝肉祭」などで知られるカミーユ・サン=サーンス。単なる見世物との評価を受けてきた映画を芸術として高めようと設立されたフィルム・ダール(芸術映画)社が、コメディ・フランセーズの名優たちを起用して撮った作品だった。
やがて、主題曲も作られ、ヒット曲が生まれるようになった。なかでも、『栄光』(1926)の主題曲「シャルメーヌ」は、ガイ・ロンバード楽団の演奏でヒットチャートのトップとなり、リバイバルヒットさせたマントヴァーニ楽団の十八番としても知られるナンバーだ。