本連載の第2回「海外から品質認定を受ける時代がやってくる 現場の改善に頼れなくなった日本~品質立国の幻影(2)」では、日本が品質立国として復活するための3つの心構えを提言させていただいた。

〈心構え1〉 他者の多様性を認めて、周囲の成功・失敗事例を真摯に学ぶ

〈心構え2〉 個人の努力だけに依存せず、組織的な活動支援の仕組みを作る

〈心構え3〉 グローバルスタンダードに対する認識を深め、国家戦略的にルールメーカーを目指す

 本編では、「〈心構え1〉他者の多様性を認めて、周囲の成功・失敗事例を真摯に学ぶ」ための具体的な企業事例を紹介していきたい。

日産自動車の業務改善活動をさらに発展させたジヤトコ

 手前味噌で誠に恐縮だが、筆者たちは10年以上にわたり「シックスシグマ・フォーラム」という自主フォーラムを運営しており、社内改革・改善推進役の方々を中心に20社以上の企業が参加してくださっている。

 そこでは定期的に情報交換や事例発表を行っているのだが、今年は参加者を募り、実際に社内改革に取り組んでいる企業の現場(サイト)見学ツアーを行うことにした。

 その見学先として大手自動車部品メーカーのジヤトコ株式会社にお骨折りをお願いしたところ、快く引き受けてくださった。この場をお借りしてジヤトコの関係者の皆様には、心より深くお礼を申し上げたい。

 ジヤトコを「シックスシグマ・フォーラム」のサイト見学ツアー先に選んだのには、いくつかの理由があった。ジヤトコの大株主で実質的な親会社でもある日産自動車では、10年以上前からシックスシグマをベースとした日産V-up(バリューアップ)という業務改革活動を推進している。

 このV-upについては、今春出版された『日産V-upの挑戦』(中央経済社)に詳しいが、日産の主力グループ会社であるジヤトコもV-up活動開始当初から参画しているということがある。

 さらにジヤトコでは、“シックスシグマ”カンパニーを自称してきたGE(ゼネラル・エレクトリック)出身の秦孝之氏が社長に就任し、新たな活動を展開中ということを耳にしたので、ぜひ内容を拝見したいと直接お願いした。

 実は秦社長とは、ビジネス誌の主催するセミナーで講演者として参加した際に初めてお目にかかり、同じGE出身者同士ということもあり、親しくお話しする機会を頂戴していたからだ。