7月21日の参議院選挙に向けて選挙戦の真っただなかである。事前の世論調査によって選挙の帰趨はおよそ見えてきているが、結果は投開票日を待つしかない。
今回は、選挙の帰趨はともかく、この選挙戦で感じていることについて書いてみようと思う。
アベノミクス批判を欠落させた民主党マニフェスト
自民党、公明党の与党側は、アベノミクスを柱にして経済再生を前面に押し出している。不思議なのは、民主党の選挙公約だ。アベノミクスへの批判がまったくない。ただ「暮らしを守る力になる」「中間層を厚く、豊かにして日本経済を蘇らせます」などと述べているだけだ。
衆議院選挙で惨敗した民主党が、政権に復帰できる可能性は相当長期にわたって皆無だ。今後、民主党が政党として存続するかどうかさえ危ぶまれている。ましてや今回は、政権獲得とは本来無関係の参議院選挙だ。民主党は、野党に徹するしかない立場なのだ。
その民主党が、自民党最大の売りであるアベノミクスを正面から批判できないようでは、戦う前から白旗を掲げているようなものだ。これは与党ボケではないか。
維新の会もアベノミクスに触れず
これは日本維新の会も同様だ。選挙公約にアベノミクスという言葉すら出てこない。憲法改正で自民党からの誘いを期待しているのだと思うが、選挙で自民党とも争う以上、アベノミクスに賛同なら賛同する、批判的なのなら批判する、という態度を明確に打ち出すべきであろう。
なぜなら選挙公約(マニフェスト)は、例外があるとは言え、基本的には与党だからこそ実現できることであって、野党の選挙公約は、おおむね実現不可能なのである。
であるならば、与党の政策を鋭く批判してこそ、選挙の争点を国民の前に提示することができる。野党が与党の批判を避けているようでは、早々と戦線離脱していると思われても仕方がなかろう。
誤解なきように言っておくが、アベノミクスを批判すべしと言っているのではない。少なくとも野党である以上、与党の最大の売りに対して評価を明確にすべきだと言っているのである。
明確にアベノミクスを批判しているみんなの党と共産党
この点では、同じ野党でもみんなの党と共産党は違っている。