この世は、用事のある方が相手のところに出向きます。2週間前に行われた米中首脳会談は、習近平国家主席がアメリカに出向きました。アメリカよりも中国の方が会いに行きたい理由があったわけです。
北朝鮮問題やサイバー攻撃問題など多くの話し合いがなされたようですが、米中どちらが主導権を持っているのかは、こうしたところに表れます。
尖閣問題に代表される領土問題の場合、武力的に明らかな優位にあるなら、チベット弾圧のごとく中国は相手の了解を取ろうとはしなかったでしょう。ところがオバマ大統領は以前から参加要請をしていた「リムパック(環太平洋合同演習)2014」に中国が参加することを約束させ、尖閣にたびたび船を出没させて同盟国である日本を脅す中国に釘を刺しました。
中国はアメリカと対等のパートナーと見られたいようですが、アメリカはそんなことは許さない姿勢を明確にしたと言えるでしょう。
国土拡張の3つの方法
<国力を発展伸長させようとする国家は、ローマがとったやり方以外は決して用いるべきではない。>
(『ディスコルシ 「ローマ史」論』、ニッコロ・マキァヴェッリ著、永井三明訳、ちくま学芸文庫)
欧米人は「自分はローマ人の子孫だ」と思っている人が多いそうです。ローマ帝国の最大版図は西欧の大部分を含んでいましたから、その思いは間違いではないのでしょう。しかし、欧米人が1000年以上前に滅んだ国の子孫だと主張する背景にあるのは、ローマが長年栄光に包まれた存在感を示していた国家だからです。
紀元前753年、王政から始まったローマは、共和制、帝政期を経て395年に分裂しました。分裂した一方の西ローマ帝国は480年まで、東ローマ帝国は実に1453年まで永らえました。分裂までの期間だけでも1000年以上、東ローマ帝国滅亡までと考えれば2000年以上も存続したわけです。中国では、1000年君臨してきた国家はありません。