2013年のISO/TC69総会が開催されたミルウォーキーといえば、ご存じのとおりビールで有名な街だ。また大型バイクのハーレーダビッドソンの本拠地もある。
そして私事で恐縮だが、筆者が以前勤めていたゼネラル・エレクトリック(GE)の医療機器事業部の米国本社があったので、当時よく出張で訪れた地でもある。奇遇にもASQ(米国品質協会)本部がここにあり、ISO/TC69総会で約15年ぶりに訪れることになったことはとても感慨深い。
検討課題の討議はルール作りの国際競争の場
前回もご紹介したとおり、各SC(Sub Committee)にはそれぞれ決められた検討課題があり、そのテーマを中心に討議するのだが、お互いに連携しながら協働する場合もある。
例えばシックスシグマを扱うSC7は、用語の定義を検討するSC1と一緒に各規格書で使う用語について相談しながら進めたり、SC8と一緒に実験計画法やタグチメソッドという統計的な分析手法の検討を進めたりしている。
さらに関連する他の規格を扱うTC(Technical Committee)からリエゾン(連携)メンバーが参加しているSCもあり、メンバー間の協調や連携がよく意識されていることが分かった。
総会と併せて参加した委員向けにゲストを招いての企業事例勉強会やセミナーなども開かれ、休憩時間も委員同士の活発なコミュニケーションが行われるなど、単に無味乾燥な会議を行う雰囲気ではない。
まさにそこに居合わせることでルール作りの国際競争に参加していることを実感した。
SCにおける具体的な討議の様子を少し紹介してみよう。
WG(Working Group)やSCで討議される規格については、NWIP(New Work Item Proposal)としてエントリーするときに討議リーダーとなる委員を決めている。例えばSC7/WG3で議論された「シックスシグマのためのベンチマーキング」という規格は、フランスの委員がリーダーとしてドラフトを準備し、各委員の意見のとりまとめを行っている。
TC69では慣習的にドラフトは事前に回覧され、委員会参加国のメンバーが誤字脱字に至るまでチェックしたコメントをリーダーに送っている。会議ではこれらのコメントの中で特に重要と考えられるものをピックアップし、具体的な討議が行われる。