東日本大震災において、新築した住まいが津波で流され、再建にあたって二重ローンを強いられる状況を目の当たりにし、住まいを所有することにリスクを感じる人も増えたと言われている。

 実際に住宅購入を検討していた人の中には、震災後、購入を踏みとどまった人もいたのではないだろうか。

持ち家も賃貸も災害対策に違いはない

 たしかに、被災した場合の資産保有リスクという面では、持ち家と賃貸で考え方に違いがあるかもしれない。

 しかし、災害に対する備えに持ち家も賃貸も違いはない。建物そのものの安全性を高めること、被災後インフラ復旧まで生活できる最低限の物資を備えること、そして共助の関係を日頃から築いておくことが基本となる。

 共助の関係ということでは、マンションやアパートなど集合住宅の場合、入居者同士での共助の関係づくりと、立地する地域コミュニティとの共助の関係づくりの両方が必要になる。

 全国で約5050万ある世帯*1のうち、約63%が持ち家世帯、約37%が借家世帯である(図表1)。

*1 住宅以外の施設に居住する世帯を除く

 ただし、この比率は地域によって少しずつ異なる。例えば東京都は約53%が借家で、持ち家を上回っている。

 沖縄県も東京都に次いで借家比率が高く約49%、その他福岡県、大阪府、北海道、神奈川県が比較的借家比率が高く40%を超えている。

 一方、秋田県や富山県は約21%と、全国平均の半分程度の地域もある。(図表2)