最近中国発のサイバー攻撃が再び注目を集めている。中国政府は「中国こそ米サイバー攻撃の犠牲者だ」と主張して憚らない。いったいどちらを信じればいいのだろう。今回は筆者の個人的体験を交えながら、中国による(と思われる)対米諜報活動の実態を改めて検証する。

簡体字を使った日本語メール

 まずは、次のメールをお読み頂きたい。

突然のメールをお许しください。
私、朝日新闻オピニオン编集グループの记者をしております杉●昭○(筆者注:実在の人物らしい)と申します。どうぞ宜しくお愿いいたします。
この度、日中交流の现状に关して取材依頼をさせていただきたくご连络いたしました。详しくは添付の取材依頼书をご参照いただき、お返事をいただけましたら幸いです。
お忙しい折に恐缩ですが、何卒 宜しくお愿いいたします。
それでは、良いお返事をお待ちいたしております。
杉●昭○
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朝日新闻オピニオン编集グループ 记者
〒104-8011 东京都中央区筑地5-3-2
TEL: 03-5540-74XX
FAX: 03-5541-82XX
E-mail: ffujiyama@yahoo.com
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 今週筆者のメールアドレスに送られてきた「取材依頼书」なるメールの全文だ。差出人はFujiyama F (ffujiyama@yahoo.com)、送信日時は 2013年3月26日16:39:08となっており、取材依頼.doc (346.4 KB)も添付されている。一見何の変哲もない取材依頼メールだ。

 職業柄、この種のメールを頂くことは珍しくない。ところが、今回ばかりは「うっ」と唸ってしまった。このメール、なんだか変だぞ。そもそも、漢字の一部に中国大陸で使われる簡体字が混じっているではないか。それに文体もちょっと不自然、これはおかしい。

 早速、メール末尾にある某全国紙の電話番号に直接かけてみた。確かに、電話に出たのは某大新聞のオフィスだった。「杉●さんから取材依頼メールを頂いたのですが」と聞いたら、即座に「そのメールは直ちに消去してください」と言われてしまった。