バルセロナ旧市街の夜は薄暗い。点在するバーの扉から漏れる灯りだけが頼りだ。それでも店に入ると、たくさんの人がバルセロナ対リアル・マドリッドの試合で盛り上がっている。

ライブ中継はテレビの醍醐味(バルセロナのバーで。写真:著者撮影、以下同)

 

 

テレビは「リアルタイム性」に自分の存在を見出す

 1億人相手でもスポーツイベントを中継できるテレビ。インターネットのある環境でのテレビは、それ以前とは違っていろいろ考えることが増えた。

 「この試合だけネット生中継ってムリだよねぇ」パエリアを食べながら考えていた。すると、一緒にいた弊社の研究員Fが言う。

 「通信でも放送みたいにたくさんの人に生中継できる技術があるんです」しかも「もう結構コナレた技術です」とのこと。

 「知らなんだ」

 モバイル・ワールド・コングレスのエリクソン社ブース内を歩いていると、アメリカンフットボールやインディカーレースの映像が流れている。お決まりのオンデマンド配信、マルチデバイス配信か?と思いきや、アメフトの試合を生中継するという。

 「これのことか!」

 その名も「LTE Broadcast」と言う。LTEとブロードキャスト(放送)・・・? ちょっと聞いてみよう。

LTE Broadcastって、通信会社でも放送できるってこと?

 エリクソン社のメディアガイ、サイモン・フロスト(Simon Frost)テレビ部門マーケティング責任者がインタビューに応じてくれた。

Q. LTE Broadcast とは何か?

A. LTE Broadcast は、3つのテクノロジーで成り立っている。1つ目はeMBMS。Enhanced Multi Broadcast Multimedia System の略で、データ(コンテンツ)を多数の機器に一斉配信する技術。