Jパックス代表取締役の水谷嘉浩氏をゲストに迎えた、今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。被災地に自ら開発した段ボール製簡易ベッドを届ける水谷氏の取り組みや、今後の復興に向けた課題などを語った。

被災地への思いが生んだ「暖段はこベッド」とは

中山 今回は、Jパックス代表取締役の水谷嘉浩さんにお話を伺います。

東日本大震災2年、各地で追悼式

東日本大震災から2年、各地で追悼式が行われた(写真は宮城県石巻市の大川小学校での追悼式)〔AFPBB News

 3月11日で東日本大震災から2年が経過しました。一日も早い復興が求められていますが、そんな中、水谷さんは「暖段はこベッド」という段ボール製簡易ベッドを開発し、自らの手で被災地に届けておられます。どんな思いからこの製品を開発されたのですか。

水谷 震災当日、私は出張で東京にいて地震に遭いました。あの日、被災地に津波が押し寄せる映像を目の当たりにした時の悔しい思いは、今も決して忘れられません。

 また避難所では、寒さによって多くの方が亡くなったというニュースを見聞きしました。避難所にいたのは津波から逃れることのできた幸運な方々です。にもかかわらず、今度は寒さで命を落とす方がいる・・・。

 そんな中で自分に何ができるかを考えた時に、「保温性の高い段ボール箱でベッドを作ってはどうか」と思い至ったのが開発のきっかけです。

 「暖段はこベッド」は、床から35センチと高齢者が起き上がりやすい高さに設計しています。例えば病院のベッドは座ると足が浮きますが、これは足が地面にしっかりと着くため、手で支えながら起き上がることができます。

中山 私も水谷さんに同行して被災地を訪れましたが、避難所にいる方々は当初、津波による泥や土砂で汚れた体育館の床で雑魚寝を余儀なくされ、やがて体調を崩したり病気になった方もいたと聞きました。

 それが、このベッドで床から35センチの高さを確保しただけで、ずいぶん状況が改善されたそうですね。

水谷 はい。津波はヘドロを運んできますが、それが乾くと街中が埃だらけになってしまいます。しかし、高さのあるベッドで寝ることで埃の吸引を軽減することができ、咳など呼吸器系の疾患が自然と改善されました。

 また、ベッドに使われる段ボールは、ブランコや滑り台などの遊具施設にも使われるほど強度が高く、試験の結果、均等荷重で9.5トンの重さに耐えられることが分かっています。

 仮設住宅では約1年半前から500~600床くらい使っていただいていますが、先日、陸前高田を訪れてベッドの状態を確認したところ全然壊れておらず、改めて耐久性の高さを実感しました。