黄と黒に塗られた車体のタクシーを降りると、モバイル・ワールド・コングレスの白い会場が目に入る。その手前には、赤い色をしたタワーホテルがニョキっと立っている。

バルセロナのモバイル・ワールド・コングレスの会場。大きなビジョンにセッションの様子が流れている(筆者撮影、以下同)

 会場は8つに分かれており、それぞれが動く歩道で結ばれる。通路の白い壁には、セッションの動画中継が映し出され、途中には緑で覆われた屋外のカフェが立ち並ぶ。

 会場の正面入口から15分ほどのホール8。アプリプラットフォームやアドネットワーク、ゲームデベロッパーが集結する会場だ。

 そのカオスでカジュアルな雰囲気がなにかイノベーションを生み出しそうである(ちなみに、ジャパンブースはそのホール8の入口正面、いちばんいい場所にあった)。

アプリのライフタイムバリュー(LTV)を最大化する

 アップルの App Store にはアプリが100万以上あり、グーグルPlayにも70万弱のアプリが存在する。普通の人にはもう何がなんだか分からない。グーグルPlayのアプリのうち80%は100回もダウンロードされないまま消えていく。

 ここまでコンテンツが増えれば、もうOSやプラットフォームの違いといったテクノロジーは重要ではない。話題の中心はマーケティングになる。

 いかにアプリを買ってもらうのか。顧客1人が幾らお金を使ってくれるのか。ライフタイムバリュー(Life Time Value: LTV)というバズワードを会場でよく聞いた。

 アプリのプロモーションを専門とするビジネスも立ち上がっている。

 例えばドイツのTRADEMOB社は、アイフォーン(iPhone)のApp Storeのランクのアルゴリズムを予測、解析し、どうしたらランキングを上昇させられるかをコンサルティングする。1日1つだけアプリを無料にしてプロモーションをすることを売りにするプラットフォームもある。

 そのなかで、インモビ社のようなアドネットワークがアプリプロモーションに果たす役割や、豊富な物販のビッグデータを分析するアマゾンのアプリコンサルティングの話はとても面白かったので紹介したい。