「プロジェクトシンジケート」という、プラハに本拠を置く非営利の国際言論組織があります。世界各国の政治家、経営者、学者らが寄稿する、国際言論の梁山泊みたいなところです。
2012年12月27日に発表されたエッセイの中に安倍晋三総理の名前が見えます。タイトルは「アジアの民主的セキュリティダイヤモンド」です。
セキュリティダイヤモンドとは、安倍総理の考える集団安全保障のコンセプトで、オーストラリア、インド、日本、ハワイを結んだ線で作られるダイヤモンドを描き、その中に位置するインド洋から西太平洋を民主主義国共同で防衛しようとする構想です。かつてこの地域の宗主国だった、イギリスやフランスも仲間に引き入れようともしています。
どこから防衛するのかと言えば、もちろん中国です。中国は、セキュリティダイヤモンドの対象となる海域で覇権を握りたいと考えています。
安倍総理のセキュリティダイヤモンド構想は、決して間違っているとは思いませんし、中国にとって一番嫌なところを突いていると言って間違いはないでしょう。しかし成功させるのは、そう簡単ではありません。
地域の商店会を相手にたった1人で戦った中内功
<権力者が多数団結し、1つの権力に対抗しようとする時は、たとえその結集された勢力が別の1つの力よりはるかに強大であったとしても、数において圧倒的に勝り、実力でも並ぶ者のない集団よりも、単独でしかも力に劣る単一の勢力の方が、いつもはるかに威力を発揮するものである。>
(『ディスコルシ ローマ史論』、マキァヴェッリ著、永井三明訳、筑摩文庫)
今から50年ほど前、日本ではスーパーマーケットという小売業態が導入されました。中内功率いるダイエーがその代表格ですが、当時のダイエーは仕入れに苦労しました。卸売業者が商品を供給してくれないのです。