今年2月1日、ロシアの衛星打ち上げ会社シー・ローンチが打ち上げた「ゼニット-3SL」ロケットが、発射直後のエンジントラブルによって太平洋上に墜落した。
近年、ロシアではロケットの打ち上げ失敗が相次いでおり、今回の失敗も含めると2008年から通算で10回の打ち上げが失敗し、合計14基の衛星が失われた計算になる(打ち上げ後にコントロール不能になったものを含む)。
相次ぐ失敗に連邦宇宙庁長官を更迭
もちろん、どこの国でも宇宙開発に失敗はつきものだが、これまでロシアの衛星打ち上げは極めて確実性が高いと評価されてきただけに、昨今の失敗の連続は宇宙関係者に強い衝撃を持って受け止められている。
特に2010年末にはロシア版GPSであるGLONASS用の人工衛星を3基搭載した「プロトン」ロケットが燃料搭載量の計算間違いという初歩的ミスで墜落し、当時のペルミノフ連邦宇宙庁長官が更迭されるまでに至った。
だが、新たに任命されたポポフキン長官(元第1国防次官)の下でも事態は改善されておらず、それどころか2011年には、国際宇宙ステーションに物資を運ぶプログレス無人貨物船を含めて4回もの打ち上げが失敗したうえ、火星探査機「フォボス・グルント」が打ち上げ後にコントロール不能になるという事態まで発生した。
さらに2012年にも2回の打ち上げ失敗が発生し、今年は冒頭で挙げた失敗が早くも発生している。
これほどまでに失敗が相次いでいる背景としては、ロシアの宇宙産業が抱える構造的な問題が指摘される。
(1)ソ連崩壊後、生産設備が旧式なままで更新されていないこと
(2)若手技術者が十分に育っていないこと
(3)工場の稼働率の低さ
(4)品質管理の劣化
(5)ハイテク技術の立ち遅れ
・・・などが主なところだ。要するに、ソ連崩壊によって生じた様々な歪みが、今になって顕在化してきているとまとめることができるだろう。
ロシアの宇宙産業が抱えるもう1つの問題は、外国依存だ。